海外留学レポートReport from Overseas

New York Trip

May . 2015
 4月に入り、気温も少しずつ上がりはじめ、長かったキングストンの冬も終わりを迎えました。雪が少し解け始めたと思えば、すべてなくなってしまうまであっという間で驚きました。4ヵ月ぶりに道路がでてきて、嬉しい気持ちもありましたが、もうあんなにたくさんの雪を見ることもないのかなと思うと寂しい気持ちにもなりました。
 4月のブレイクを使ってニューヨークに行ってきました。3日間という短い期間でしたが、とても濃い時間になりました。ブロードウェイでのミュージカル鑑賞は、ニューヨークで一番したいことだったので、とても楽しみにしていました。本場のミュージカルは感動的で、これを見るためだけにもう一度ニューヨークに来たいと思ってしまうほどでした。
 911メモリアルとワールドトレードセンター跡地、グラウンドゼロに行きました。911メモリアルには、実際の瓦礫やテロについての詳細がありました。当時のメディアの実際の影像、またその映像を見る人たちの反応が写された写真、あの日あの時に何をしていたか語るオーディオが流れていて、ニューヨークに住んでいた人々がどんな気持ちであの場を見ていたのか想像できるようでした。2001年9月11日の朝の写真と、飛行機がビルに衝突した直後の、粉塵がまだ舞っている写真など、当日の時系列に沿って展示がされており、筑女の授業で、911同時多発テロはメディアでの報道のされ方をよく計算されたテロであったということを教わったことを思い出しながら拝観しました。
 なかでも一番印象的だったものは亡くなった方、ひとりひとりの写真が壁一面に貼られたエキジビションでした。エキジビションは1993年2月26日に起こった、ワールドトレードセンター爆破事件と2001年911同時多発テロで亡くなった人々の写真や、その人がいつ生まれどんな人生を送ってきたかなどが展示されていました。3000枚近い写真のなかには赤ちゃんやお年寄り、いろんな人種の人々がいて、言い表せないような感情になりました。拝観している人のなかには泣いている人もいて、このテロがいかに世界に大きな傷を与えたかを改めて思い知りました。外の慰霊碑には亡くなった方、全員の名前が掘ってあり、なかにはバラの花が沿えてあるものもありました。911同時多発テロ当時、私は小学生で、よく理解できていないところがあったので、今回きちんと知り考えることができて本当に良かったです。
 もうひとつニューヨークで印象的だったものは人種差別についてでした。ニューヨークからカナダに戻るためにバスターミナルにいた時、黒人の方がバス会社の人に、黒人だけ案内されずに待たされていた、スーパーバイザーを呼べと話していました。それがひとりやふたりではなく、たくさんの人が次々に同じことを言いにきていて、タイムズスクエアなどの観光地では感じられなかった、根深い人種差別を強く感じました。
 ニューヨークでは観光などの楽しいこともたくさんありましたが、なかなか考えさせられることもありました。たった3日滞在しただけでこれだけいろいろ学んだので、長く滞在すればもっと多くのことが見えたのだろうと思います。また、隣の国で陸続きであってもカナダとは多くの違いが見られました。次に行く機会があれば、今度は観光地ばかりでなく、ニューヨークに住む人たちの暮らしなどを見てみたいなと思いました。