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公開講座「怪異と日本人の心の風景」の第3回目を開催しました

11月24日(土)太宰府市いきいき情報センターにおいて、公開講座「怪異と日本人の心の風景」の第3回目を開催しました。講師は、本学日本語・日本文学科の安永美恵准教授です。
本講座は11月から日本語・日本文学科主催の連続講座として始まり、第1回「今、妖怪はどこにいるのか」、第2回「地獄と他界」に続き、今回のテーマは「近世文学にみる怪異と情念」です。
この講座では、近世以降に読者の目に多く触れることとなった「怪異小説」の流れについて、実際の作品の解説・解釈を取り入れながらお話し下さいました。
「近世文学では、虚構としての怪異を用いて人間の心の奥底を表現する方向へ発展します。それには、近世的合理主義による怪異否定や、現実の人間の心へと関心が高まっていった時代背景が影響しています」と解説されました。
講座のポイントを安永先生に伺うと、「江戸時代には、素朴に怪異を信じて、ただ畏怖するような態度は見られなくなりました。それは恋の執着や嫉妬など、人間の情念を表現する手段として用いられるようになり、そのイメージが現代にも利用されているのです。」とお話しくださいました。日本人の心と怪異は、私たちの思う以上に深い関わりがあるのだと感じました。
受講者の皆さんは熱心にメモを取っておられ、なかには先生の解説をずっと頷きながら聞いている方もいらっしゃいました。質疑応答の時間には、講座の内容を踏まえた質問があり、真剣に講義を聞いておられる受講者の姿勢が窺えました。
この連続講座は今回が最終回です。3回に渡る講座を通して、日本人が怪異をどのように捉え、表現し、消費してきたのか、またそれが時代背景や社会状況にどのように関わってきたのかを多角的に学ぶことができました。怪異を「日本人の心を読み解くもの」という新しい視点から見ることができ、視野を広げられる有意義な講座だったように思います。
(報告:現代教養学科1年 元村菜津美)