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公開講座「文学と旅」①を開催しました【社会連携センター】

文学と旅

漢詩で旅する日本の名所 講師:桐島薫子(文学部日本語・日本文学科教授)

 この講座は全3回で、「文学と旅」をテーマとして、古典文学の面白さを伝えていきます。第1回目の講座のタイトルは「漢詩で旅する日本の名所」で、2月8日(土曜)に筑紫女学園大学 6201教室で開催されました。講師は、日本語・日本文学科の桐島薫子教授でした。

 今回は、日本三景(松島・天橋立・厳島)が取り上げられました。日本三景は『日本国事跡考』における松島の記述がもとになっています。『日本国事跡考』は、江戸時代の林春斎と弟の林読耕斎が、徳川家綱の誕生を祝うため寛永20年(1643)に来日した朝鮮通信使の求めに応じて、日本の基本事項を紹介するために編んだ書物です。いわば、外務省が外国人向けに作る日本紹介のパンフレットのようなものであったと考えられています。その影響は大きく、現在では、林春斎の誕生日(7月21日)が、日本三景の記念日として制定され、それぞれの地で記念行事が予定されるようになりました。

 講座では、まず、①「名所」の意味は景勝の地ということだけでなく、歴史的な事件があったり、古歌などに詠まれたりして昔から広く知られている土地でもあることや、②名所は八景・十景・三景などまとめて提示される傾向にあることの説明がありました。続いて、『日本国事跡考』の説明があり、その後に、同書中の日本三景の記述(漢文)を読み解きました。そこには景色の美しさの他、文殊楼や竜灯の伝説(天橋立)、市杵島姫命を祭る厳島神社や平清盛(厳島)なども記されていました。

 次に、各地を詠じた漢詩を見ていきました。天橋立については、五山文学僧の希世霊彦(1403~1488)の「天橋立」詩が紹介されました。この詩には、青い海の中央に青松が横たわる景色や文殊堂・竜灯のことが詠み込まれていました。松島については、江戸後期の儒者の頼春水(1746~1816)の「松島」詩が紹介されました。この詩には、穏やかな湾に青い貝のような島が点在し、月がのぼると竜灯がわき出たかのように見えるといった様子が詠まれていました。厳島については、天田愚庵(1854~1904)の「厳島夜泊」詩が紹介されました。この詩には、遠くから寄せ来る潮の中に浮かび出る厳島神社の回廊・殿閣の影の他、夜半に竜王宮から聞こえる仙人の笛といった幻想的な事柄も詠み込まれていました。また、講座では、これらの漢詩とあわせて、各地の古地図や歌川広重の浮世絵・現地の写真も参照し、日本三景に関する、自然の美観・伝説・伝統行事などへの理解を深め、各地の魅力を再発見する「時空を超えた旅」をする機会となりました。

 参加した皆さんはとても熱心で、講座終了後には、漢詩の季節感や漢詩の味わい方についてなど、多くの質問が出ました。また、各地に「行ったことはないが旅をしたような気持ちになった」「行ったことがあるが、もう一度行ってみたい」などの感想も寄せられていました。

 次回「文学と旅」②の講義タイトルは「源氏物語における筑紫への旅」で、2月15日(土曜)に同じ場所(本学6201教室)で開催されます。講師は、須藤 圭准教授です。


写真撮影/現代社会学部現代社会学科2年 日野美優(公開講座サポーター)

 

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