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公開講座「アジア塾」①を開催しました【社会連携センター】

11月2日(土)太宰府いきいき情報センターにおいて『アジア塾』「現代アジア考~伝統文化の今~」を開催しました。
第一回目の講師は、文学部アジア文化学科教授の石其琳先生です。

今回の講座のテーマは「中国少数民族の今」で、中国少数民族文化を研究している石先生が中国少数民族の「現代化」の実態と問題点について説明をしてくださいました。
中国で少数民族と呼ばれている人々は、ある宗教によって集まった集団ではなく、文化と言語の原則及び文化心理要素が重視された集団であるということでした。彼らにとっては学ぶことより働いてお金を稼ぐことが優先であるため、わざわざ教育を受けようという意識が全体的に低いとのことでした。しかし、都市部に働きに行くには言語の差が出てしまうため、学校では双語教育というものを実施し、その民族の言語と中国語を教える学校が増えています。さらに政府が優遇政策を行っていますがこれは漢民族との逆差別を生んでいるというのが現状のようです。現代化によって、近代化に取り残されていた少数民族の自治区でも先進技術である太陽光の利用ができるようになり、お湯が使えるようになったことでずっと住みやすくなりました。砂漠の中に道路ができ交通の便が良くなったというメリットもある反面、その環境を保つために清掃をしなければならないということもあるそうです。

先生の知り合いの少数民族の自主的な活動として、伝統母系社会のモソ族の人々が、自分たち民族のことを正しく理解してもらうために観光産業の一環として民族博物館を建てたということが紹介されました。
このように少数民族の人々は、現代化していく中で自分たちの伝統や文化を守りながら少しずつ変わっているそうです。
中国に少数民族と言われている人たちがいることは知っていましたが、彼らがどのような文化を持ち、どのような生活をしているのか、そしてどのような問題を抱えているのかというのを考えるいい機会になったと思います。

 

報告/文学部アジア文化学科 1年 赤木 音羽(公開講座サポーター)