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公開講座「アジア塾」③を開催しました【生涯学習センター】

10月20日(木)太宰府市いきいき情報センターにおいて『アジア塾「アジア楽園めぐり-日本・インド・西アジアの理想郷-」③“パラダイス”とエデンの園』を開催しました。講師は、本学文学部アジア文化学科教授の大津忠彦先生です。日本をはじめインド・西アジアの思想・信仰・造形を辿り、アジアの他界観を改めて見直す今回の『アジア塾』もこの第三回目「“パラダイス”とエデンの園」で最終講となりました。今回の内容は西アジアのパラダイスとエデンの園という事で、ギリシア・ユダヤ古代史および西アジアの風土や「聖書」との関わりが解説されました。
エデンの園とは旧約聖書「創世記」に登場します。英語表記の「the garden of Eden」・「the Paradise」を、古代ペルシア語やヘブライ語にその語源を遡ると「囲まれた庭」あるいは「草原地帯」がその語義です。夏季に雨が降らず草木も育たない西アジアにとって、程よい広さで緑が育っている場所こそ、探し求めていた理想郷(エデンの園)を示しているとの事でした。シュメールの都市国家ウンマとラガシュが紀元前2,500年頃、その領有をめぐって争ったと史料が伝えるティグリス川沿いの土地「グ・エディン」がエデンの園かもしれません。
パラダイス(楽園)とは「苦しみのない生活ができる場所」のこと。しかしそれは、生きているかぎりにおいては「非現実、仮想の世界」なのです。したがって古来人々は、飽くことなくそれを捜し求め、またバビロンの「空中庭園」のように形造ったのでしょう。今の世の中は何もかも揃っていて贅沢な社会になってしまったけれど、どうしても叶わない、実現することが出来ないことは必ずある。だから人はそれぞれの「楽園」を作り、せめて想像の中でも実現したいと願っているのではないか、と私は思いました。
講座参加者は年配の方々が多く、席は埋めつくされていました。終了時間丁度まで講義は進められ、講師が自らの体験談を織り交ぜながら分かりやすく解説していた時は、参加者のみなさんは笑顔を見せておられました。
報告/文学部 人間福祉学科3年 小笹 真由 (公開講座サポーター)
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