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公開講座「笑いとコトバ④」を開催しました【生涯学習センター】

 10月23日(土)太宰府市いきいき情報センターにおいて、公開講座「笑いとコトバ④沖縄の言葉と笑い」を開催しました。
 講師は本学日本語・日本文学科、准教授森田真也です。
 本講座は全4回を通して行われました。最終となる第4回目の今回は、笑いが沖縄と日本の力関係を考えることと繋がるということをキーワードとされ進められていきました。
ここでいう笑いとは、社会や集団が価値や意識を共有しているものをズラシテく事で生まれてくるとの事です。
 はじめに、沖縄の歴史の話から始まりました。沖縄にとても複雑な過去があるということはほとんどの日本人が知っていることと思います。そのような沖縄の歴史として、1609年の島津侵攻、1879年の琉球処分、1945年の第二次世界大戦終結、1972年の本土復帰、これらは沖縄と日本の関係において重要な年号になります。次に、沖縄の言葉について話をされました。沖縄の言葉と言うと「理解するのが非常に難しい。」というのが、私にとっての最初の印象でした。そのような沖縄の言葉の特徴として、次の事が挙げられるとの事です。沖縄の言葉は、母音のアイウエオがアイウイウ、エがイ、オがウに変わるそうです。例えば、「私の→ワンヌ」、「恋→クイ」、「心→ククル」となり、「私の恋心」は「ワンヌクイグクル」となるとの事です。
 つづいて沖縄の芸能世界の中の笑いについて話をされ、その後、戦後の沖縄の笑いの展開を5つの事例を踏まえながら解説していきました。そこでは、沖縄の言葉と日本の言葉との違い、沖縄内での言葉や習慣の違い、アメリカ統治や日本に対する政治批判と社会風刺が重要な笑いの要素になりました。
1990年代以降、沖縄の人々が日本との違いを独自性として捉えるようになり、日本との差異、さらには日本の側を笑いの対象とすることで、通常は優位となる日本との力関係を逆転させるようになったとの事を話されました。それは、1990年代以降のいわゆる「沖縄ブーム」を経て、沖縄の人々が日本との違いをマイナスとはせずに、ポジティブ、プラスイメージとして捉えていくようになった事が関係しているとの事です。
 おわりに、言葉と笑いを通す事で、沖縄社会、さらには日本社会が見えてくるとの事を話されました。
現在も多くの基地が残る沖縄について真剣に考えながらも、シリアスな問題をズラスことから笑いを作り出していることを知り、沖縄の人々の複雑な心境を考え、笑いとはただ楽しい、可笑しいという事からだけ生れてくるものではないと思った講座になりました。
      
                  (報告/日本語・日本文学科2年 塚元 あゆみ)
●公開講座の詳細・受講申込みはこちら
http://www.chikushi-u.ac.jp/campaign/lecture/index.html