お知らせNews

公開講座「第13回仏教文化講座「親鸞~その思想をめぐって」⑤を開催しました【生涯学習センター】

 7月7日(土)太宰府市いきいき情報センターにおいて、第13回仏教文化講座「親鸞~その思想をめぐって~第5回 念仏~仏の名のりを聞く~」を開催しました。
 講師は本学アジア文化学科 小山一行教授です。
 まず、親鸞の人生において最大の転機となった、法然との出遇いのお話から始まりました。比叡山で学んだ仏教に満足できなかった親鸞は、六角堂での参籠を機に法然の元を訪ね、100日間の聞法を経て法然の弟子となりました。一般的には、親鸞が浄土真宗の教えを開いたと思われていますが、親鸞自身には開祖という意識は見られず、生涯法然の弟子であるという態度を守っています。
 様々な神仏を尊び、あらゆる修行を認めていたそれまでの仏教と違って、法然の教えは「専修念仏」といい、阿弥陀仏の名を称える念仏だけに行を純化したことに尽きています。法然は、この念仏は阿弥陀仏の願いによって選ばれたものだといい、仏の願いに随順して称える念仏こそ最もすぐれた行であると述べました。これによって、人間が仏の悟りに向かって近づく道と考えられていた仏教が、仏の願いに随って生きる道へと転換されたのです。そして、聖者・聖人など限られた者だけでなく、全ての人が日常の生活の中で実践できる念仏を説いたことによって、法然以後の仏教は初めて万人に開かれた仏教になったといえます。
 親鸞はそのような法然の教えを受け継ぎながらも、法然の明示しなかったところまで踏み込んでいます。「阿弥陀仏に帰依します」という意味ととらえられていた念仏は、「限りない光りといのちの世界に帰れ」という阿弥陀仏の呼びかけを聞くという意味に深められました。それは、衆生の意思の表明である「称名」が、仏の呼び覚ましを聞く「聞名」になったということでありました。
自分の命を自分で作ったと思ってはいけない、自我にとらわれた生き方に安らぎはない、智者の振る舞いをするなという仏の名のりが聞こえた時、私達はすでに如来のはたらきの中に摂取されたという目覚めが起こります。それが親鸞のいう信心だったのです。
 難しい言葉の一つ一つを先生が丁寧に解説して下さり、とても分かりやすかったです。先生が高野山を訪れた際の曼荼羅のお話や、講座に関連した冗談などでも会場が沸き、大変面白い講座でした。
 今回の講座にも100名を超える方が来場されていました。参加者の方々は先生のお話に頷きながら、噛みしめるように熱心に聞いておられました。親鸞聖人の思想の独自性、またそれを導かれた法然聖人の教えについて深く知ることができ、とても勉強になりました。仏教が世に伝わり、長い年月を経て私達の元まで受け継がれていることを改めて実感します。さらに深く、仏教について知りたくなる講座でした。
                  (報告/発達臨床心理学科2年 松田桜子)
*平成22年度後期は10月~11月に筑紫女学園高等学校にて、「仏教学研究室公開講座『親鸞~その生涯をめぐって~』」を開催する予定です。
*詳細が決まりましたら、ホームページ等でお知らせします。
*受講希望の受付は、9月1日からです。
●公開講座の詳細・受講申込みはこちら
http://www.chikushi-u.ac.jp/campaign/lecture/index.html