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公開講座「文学と歴史による時空の旅―京都・北九州・沖縄―」③を開催しました【生涯学習センター】

 10月17日(土)に、太宰府市 いきいき情報センターにて、第3回「文学と歴史による時空の旅―京都・北九州・沖縄―」を開催しました。
 講師は、本学日本語・日本文学科の松下博文教授です。
 最終回となった今回の講座のタイトルは「大城立裕『小説琉球処分』を読む―琉球王国の終焉」。過去から現在に至る“琉球国から沖縄県への変動”をひも解いていきました。
 まず、「当時の琉球王国の世界との関係」では、琉球国が日本に比べどれほど世界を相手として幅広い交易をしていたのか、また海外から琉球国がどのように認識されていたのかを当時の資料文献から探っていきました。
 16世紀後半から17世紀初期にかけての“大航海時代”のヨーロッパ地図を見ると、東南アジアはまさに世界の貿易の中心としての大切な場所であったこと、その中でも琉球王国が日本より大きく精緻に地図に取り上げられていて、世界からとても重視されていた国であったという事実が分かりました。
 次に「琉球王国と日本との関係」では、日本政府の琉球侵略の政策として1872年の“琉球藩設置”や1879年の“沖縄県設置”が行われ、琉球国の終焉の真相を知りました。
 琉球国の終焉に対して『小説琉球処分』では、中国派・開化派・脱清派等の琉球武官同士の思想相異の派閥が起こり、王国の現状に苦しみながら、それぞれの立場で闘い前に進まなければならなかった人々の苦悩・怒り・戸惑いが書かれていて、それまで“国”として存在していた琉球王国の急激な変化への動揺が見受けられ、日本との関係も大きく変わっていったことを知りました。
 講座終了後に出された会場からの「アメリカ軍の基地移転について」の質問に対しては、「私たち日本人はこの問題にあまりに無関心すぎる。日本人全員が基地問題をもっと真剣に考え、単に沖縄の問題として捉えるのではなく、日本人全体の問題として、そして自分の問題として真剣に考えて欲しい」と、これからの私達への課題を述べられていました。
 その後も参加者の方々から多くの質問や意見が出され、“沖縄戦のその後”などの話しが熱く語られ、改めてこの問題の重要性を知ることができました。講座を受けた参加者の方々からは「もっと色々な話を聞きたい」「とても為になった。知らない事を知ることが出来て、考えが変わった。」「また是非、教授の講座を聞きたい。」などの多くの声が寄せられ、この講座に対しての熱意が強く感じられました。 
                 (報告/日本語・日本文学科 2年 山本 侑加)
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