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公開講座「文学と南(7)」②を開催しました【社会連携センター】

近・現代詩の地平 第2回 

「南という虚構に ~立原道造の幻想の旅~」 講師:渡辺玄英

 9月21日(土)、太宰府市いきいき情報センタ―209教室にて、公開講座「文学と南(7)―近・現代詩の地平―」を開催しました。
 この講座は文学部日本語・日本文学科の松下博文教授がコーディネーターとなり、近・現代の詩人たちの文学的な営みを「南」との関係でとらえていく3回連続の講座です。

 第2回目の今回は「南という虚構に ~立原道造の幻想の旅~」と題して、詩人としてご活躍される渡辺玄英先生をお招きしてお話しいただきました。
 講座は立原道造の生い立ちや人物像、いくつかの詩をもとに立原の詩の特徴について展開していきました。

 立原の詩は<ソネット式>と言われる4行・4行・3行・3行の計14行からなるものが多く、渡辺先生はその理由として彼の「音楽の状態に憧れて詩を創る美意識」や建築家という側面から形式を大事にしようとしたことが影響しているのではないかと述べられました。

 また、今回の講座で一番のキーとなったのは立原の詩の<虚構性>や<幻想性>でした。立原の詩は繊細で言葉の選び方が美しく技巧的である反面、風景の描写や女性に対して幻想性があり、どこか非現実的で虚構性を持った作品であるとも語られました。そこには立原が生きていた頃の「文学や芸術を追求した先にこそ真理がある」という、文学が絶対的なものであった時代背景も影響しているのではないかと話されました。

 受講者の方からの「現代の若い繊細な詩人たちへ一言お願いします」との声には、現代を生きる私たちが昔のように詩を語ることは出来ず、また、あの頃は良かったと思っていても帰ることは出来ないので、昔の文学や言葉をなぞるだけではなく今の世界へ目を向けて生きることが大切ではないでしょうかと話されました。

 講座の冒頭で、立原道造は忘れられつつあるとお話しされていましたが、渡辺先生のとても丁寧な解説や興味を引かれるお話で、立原道造を詳しくは知らなかったという受講者の方も今回の講座で立原の詩の世界へ一歩入り込むことが出来ました。

報告/文学部 日本語・日本文学科4年 岩﨑有里子(公開講座サポーター)

●公開講座の詳細・受講申込みはこちら↓↓↓↓
https://www.chikushi-u.ac.jp/lifelong/lecture/