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公開講座「日本語ライティング講座―伝わる書き方―」③を開催しました【生涯学習センター】

 9月30日(土)、筑紫女学園大学6201教室にて「日本語ライティング講座―伝わる書き方―」第3回目を開催しました。講師は元西日本新聞社特別論説委員の中川茂先生です。
 今回は「新聞記事の書き方から学ぶ文章表現」がテーマでした。以下、講座の詳しい内容をお報せします。

 初めに、新聞記事における文章構成のしくみを教わりました。中川先生によると、新聞記事の文章は、事実だけを書いた「本記」と、細かな描写をする「サイド」に分けられます。記事を書く上で「本記」は何より大切であり、また基本でもあるとのことでした。「本記」は徹底して5W1H(いつ・どこで・誰が・何を・なぜ・どうやって)を記し、起承転結はいっさい使いません。結果として「本記」は誰が書いても同じような文章になるため、文章に差が出るのは「サイド」の方だそうです。「サイド」は、読み手の心に訴えかける、インパクトを与えるといった役割があり、書き手の表現力が問われます。また、じっさいには「本記」が優先されるので、限られた字数で「サイド」を収める技術も求められます。
 新聞記事のしくみについて学んだところで、受講生のみなさんで新聞記事を書く実践練習を行いました。先生が用意してくださった模擬取材内容をもとに、「本記」「サイド」「見出し」を書きます。数名の方が出来上がったものを披露されましたが、どうやら「見出し」をつけるのに苦労されているようでした。ここでは先生は、とくに「見出し」について重点的に説明をされました。「見出し」は硬い表現ばかりでなく、「サイド」同様、インパクトを与えるために柔らかい表現、ユーモアのある表現を混ぜることが大切だというお話でした。

 休憩を挟んで、後半は、文章表現の留意点を幾つか挙げて解説をしていただきました。「一文の中での語の重複は避ける」「体言止めは控える」のような基本的なところから、「事」「時」は平仮名の方が良いなど、細かな注意もありました。誤りやすい用語の例を正しく直す問題(「取り付く暇もない」→「取り付く島もない」など)を解いて、答え合わせも行いました。
 終わりに、報告書やレポートにおける文章の書き方、挨拶状の書き方などを教わりました。基本は新聞記事の書き方と同じで、結論を先に書き、理由や背景は後に述べることで、伝えたいことが伝わるとのことでした。また、挨拶状は常套句に過度に頼らず、心が伝わるように書くのが良いともおっしゃっていました。

 今回の講座では、実践練習の場面で頭を抱えたり、ペンを走らせる音が止まったりということがありました。誤りやすい用語の答え合わせでは、感嘆の声が上がる場面もありました。受講生の皆さんが真摯に文章表現に取り組んでいらっしゃる姿が印象的で、私も、文章を書く能力を上げていくために精進していこうと思いました。その第一歩として、今回講座で学んだことを、このレポートに取り入れて書いてみました。
 次回(10月7日)のテーマは、おなじく中川茂先生による「エッセイ・コラムにおける文章表現」の予定です。

報告:文学部日本語・日本文学科3年 宮原由橘菜(公開講座サポーター)

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