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公開講座「第19回仏教文化講座」③を開催しました【生涯学習センター】

 6月15日(水)に太宰府市いきいき情報センターにおいて、第19回仏教文化講座「『歎異抄』に学ぶ」を開催しました。今回は『歎異抄』の第3条について文学部 日本語・日本文学科教授の宇野智行先生に講演していただきました。

 第3条は「善人なほもつて往生をとぐ、いはんや悪人をや」の一節に代表される悪人正機説を説く、『歎異抄』でも最も有名な箇所です。この悪人正機説の「悪」とは何かについて、講義を聞きながら考えさせられました。まず、仏教の伝統から見たならば、「悪」は五悪や十悪、五逆など様々に分類されます。これらは、身口意の三業に関わるので、実際に行ったかに関係なく、心の中で思うだけでもいけないと考えられています。現在の日本では、心の中で思っただけでは捕まりません。しかし、一度思ってしまったことが、ずっと自分の心の中に残り続ける悪になってしまうこともあるという宇野先生のお話しがとても心に残りました。

 人間だれでも悪を行わずに生きていくことはできません。だから、悪を自覚することが大切になります。「機の深信」があるからこそ、他力をたのみ、まかせることができるのです。ではこの世の中に善人はいるのでしょうか。『歎異抄』の後序に「煩悩具足の凡夫」と「火宅無常の世界」という言葉が出てきます。煩悩具足の凡夫とは、人間は必ず煩悩を備えているので、何が善で何が悪であるのかという価値判断はすべてその人それぞれの都合によって決定されてしまうという意味です。また、火宅無常の世界とは、この世は燃え盛る家のように、一瞬たりとも同じ姿をとどめない、したがって、善悪の判断基準も時と共に移り変わってしまうという意味です。結局は、善いときは善いまま、悪いときは悪いままに、仏の目線から見れば、「そのまま」摂取不捨の利益にあずかるのだということが分かりました。自分の善悪について、深く考える機会になりました。

報告/人間科学部人間科学科幼児保育コース3年 稲田愛貴(公開講座サポーター)

*今後の予定は、以下のとおりです。
④ 6月22日(水) 第4条 浄土の慈悲
講師: 小林久泰(文学部准教授)
⑤ 7月 6日(水) 第5条 一切の有情は世々生々の兄弟
講師: 宇治和貴(人間科学部講師)

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