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公開講座「第17回仏教文化講座」②を開催しました。【生涯学習センター】

 6月11日(水)19:00から太宰府市いきいき情報センターにおいて、第17回仏教文化講座「ビジュアル~親鸞の歩んだ道~ ②専修念仏にであった親鸞」を開催しました。講師は文学部英語メディア学科教授の栗山俊之先生です。 

 今回の講座では、『親鸞聖人』にまつわる美術品やお寺についての講義でした。美術品では、親鸞の姿を描いた『鏡の御影』『安城の御影』『熊皮の御影』が紹介されました。『鏡の御影』は人々から「鏡のようにそっくりだ」と言われた親鸞の姿で、『安城の御影』は親鸞の口元が嘘吹いてみえるため、『嘘吹きの御影』とも呼ばれていたそうです。この二つは親鸞の生前に描かれたもので大変貴重です。そして亡くなった後に描かれたのが『熊皮の御影』です。
 親鸞の特徴は『白いスカーフ』のようなものを必ずつけている所です。このスカーフのようなものは『もうす』というものだそうです。親鸞かそうでないかを見分ける時はこの『もうす』で分かるのですね。そして、親鸞の木像も存在します。専修寺にある木造のお顔は3つの『御影』と似たつくりをしています。厳しそうなお顔です!常敬寺の木造のお顔は聖人が40から60歳までの顔をモデルに作ったと言われています。子供のころの銅像もあるのですが、渋い顔をしています☆やっぱり想像で造られたからなのでしょうか。 

 親鸞は京都、日野辺りで生まれたとされています。『得度』の時、「もう日が暮れているので明日にしましょう」との発言に対して「無常なのだから明日があるかどうか分からないから今日してくれ」と言ったそうです。一本筋の通った人物だったのが分かります。『大乗院』には『蕎麦食いの木像』が置いてあります。これは、親鸞が修行のため山を下るのを他の人に怪しまれたくなかったので、自分の身代わりの木像を作って、木像が蕎麦を他の人たちに振る舞い、自分も食べていたという伝説です。とてもユニークなお話です。大乗院付近には紅葉が綺麗な場所があるため一服するのにオススメだそうです☆そして親鸞がよく歩いていたとされる雲母坂(きららざか)が紹介されました。森の中の急な坂でした。また、親鸞の妻『恵信尼』の手紙などが紹介されました。『恵信尼の絵』は現在、京都の龍谷大学に保存されているようです。次に慈円山、安養寺が紹介されました。この近くにある円山公園の『円山』は『慈円山』の『円山』からきているそうです!円山公園は桜がとても綺麗なのだとか☆『岡崎別院』は、親鸞が29歳から35歳までいた草庵で、関東から帰ってきたときも、まずここに居住していたという記録が残っています。親鸞は流罪になったとき、ここの池で涙を流したとされています。この寺は平安神宮の近くにあります。

 親鸞は、聖徳太子をとても崇拝していたことが分かっています。夢のお告げを受けるために聖徳太子が祀られている『六角堂』に毎日通っていた時期もあったそうです。法然の専修念仏教団において、ある時、信を重視するのか行を重視するのか、どうちらかに座ろうという『信行両座』が行われたそうです。親鸞も法然も『信』の座についたとなっていますが、晩年親鸞は『信だ行だ、とこだわるのはまずおかしい』と手紙に書いていました。また親鸞は「法然の信と、自分の信とは同じだ」という発言をし、周りから「法然上人と同じとは恐れ多いことを言うな」と批判されましたが、「信心とは、阿弥陀様から頂いたものだから同じ信心なのだ」と言ったそうです。これは『歎異抄』にも載っているので信憑性が高いエピソードであることが分かります。

 専修念仏に対する弾圧によって流罪となった親鸞は、「非僧非俗」という有名な言葉を残しています。国家の繁栄や支配者の安泰ばかりを祈るような僧ではないが、世俗の欲望に振り回される俗人でもないという意味だそうです。真の仏教を求め続けた親鸞だからこそ、弾圧されてもなおたどり着くことができた自己規定だと思いました。
 他にも親鸞に関わった人物や、波乱万丈な人生を送った親鸞のお話を絵や手紙などを通して紹介していました。

 この講義に参加して、ぜひ京都のお寺巡りをしたいと思いました。京都には親鸞が育った跡地など、貴重なところが沢山あります。それはこの講義に参加して分かったことです。受講者の皆さんはスライドに映される親鸞所縁の地や、京都のきれいな景色を楽しんでおられました。

報告/文学部日本語・日本文学科 3年 廣渡 彩 (公開講座サポーター)

*今後の予定は、以下のとおりです。
③ 6月18日(水) 越後から関東へ旅する親鸞
講師:金見倫吾(非常勤講師)
④ 7月 2日(水) 関東時代の親鸞
講師:宇治和貴(人間科学部講師)
⑤ 7月 9日(水) 晩年の親鸞
講師:栗山俊之(文学部教授)

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