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公開講座「女と男の境界」②を開催しました。【生涯学習センター】

10月19日土曜日に太宰府市いきいき情報センターで公開講座「男と女の境界」の第二回目が行われました。講師は筑紫女学園大学文学部教授の桐島薫子先生です。

今回の講座では中国の文学作品から男と女の境界について解説していました。その際、先生が挙げたのは「木蘭」です。木蘭は「ムーラン」と読み、叙事詩である「木蘭辞」によって伝えられている架空の女性の名前です。また、木蘭はディズニー映画や実写映画など様々な分野で世界中の人々に親しまれています。彼女が登場する「木蘭辞」、「題木蘭廟」(木蘭廟に題す)を読み解きながら男女の境界というテーマに迫っていきました。

「木蘭辞」は木蘭という女性が父親の代わりに男装して戦争に行き戦功をあげて帰還する物語を歌ったものです。作者や成立時期は未確定ですが、内容が北朝の民歌の傾向と同じで北朝期にできた民歌の一つとする説があることや、中国では広く知られている作品であることが説明されました。「木蘭辞」は、木蘭の心情は描写されておらず、父のために男装して戦争に行って活躍し、褒美を賜り出世することになったが帰宅することを希望し、帰ると家族に迎えられ美しい女性の姿に戻るという様々な状況が淡々と述べられています。講座では、こうした作品が当時の人々に受け入れられた時代背景や、男装した女性の出土物(女子騎馬像)も紹介されました。

「題木蘭廟」は唐代の漢詩で、作者は詩人の杜牧(とぼく)です。彼は女性の心情を推し量って作品をつくる詩人でした。そのためこの作品には外面は男装して活躍していても、夢では女性として化粧をしていたかもしれない、望郷の念もあっただろう、などと想像し、木蘭の内面について過去の女性(和睦のため異民族に嫁した王昭君)の心情を織り交ぜつつ読みこんでいます。

これらの作品は、家族への思い・戦場での活躍と女性としての心情や望郷の念など、共感しやすいテーマを含み、読まれる側の立場と読む側の想像とが一致しやすく、読みやすくなっています。そのため男装した女性という違和感がありつつも、男と女の境界を無理なく超え、鑑賞することが出来るのだそうです。

報告/文学部アジア文化学科3年 原田 瞳(公開講座サポーター)

 

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