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先輩からのメッセージ

 筑紫女学園大学の学生のみなさん~はじめまして、平成24年3月卒業生の青木恵梨菜です。現在、九州国立博物館 交流課 の非常勤職員として教育普及を担当しています。

 在学生のみなさんはこのコロナ禍でいろいろ不安が多いと思いますが、「みなさんが何かを見つけるきっかけになれば嬉しいな」という思いで、私の大学時代から今までの歩みをお話しさせていただきます。

 私が筑女に行こうと思ったきっかけは、アジア音楽に興味があり、実際にアジア楽器に触れられる筑女にビビビ!ときまして、アジア文化学科を専攻することにしました。その後ガムラン部に所属しながら、興味のある講義をいろいろ受け楽しく勉学に励みました。

 その中でも本学仏教学研究室主催のインド研修で、シャーンティニケータン大学へ研修に行ったことが印象に残っています。シャーンティニケータン大学の創始者ラビンドラナート・タゴールは、インドがイギリスの植民地になっていた時代に生きていた文学者ですが、この大学には人種・宗教など関係なく入学したい人は誰でも受け入れていました。彼の作る曲はインド古典音楽と西洋音楽を融合させたもので、境界線をつくらないその器の大きさに感銘を受け、卒業論文のテーマを、「タゴールの思想と音楽観」にしました。卒業後はシンガーソングライターを目指してアルバイトをしながら音楽学校に通う道を選びました。今では自分のオリジナル曲も作れるようになり、小さな音楽バーで月に1回ペースで歌っています。

 大学卒業後は、音楽活動をしながら5年間ほど飲食店で働いていました。そんな生活を送る日々だったのですが、突然、ガムラン部で顧問をされていた田村史子先生から連絡を受け、非常勤職員の募集をしているよと教えていただいた職場が、九州国立博物館 交流課 教育普及担当でした。九博はアジア文化学科の授業で訪れたことがあって親近感ももて、早速応募しました。主な仕事内容としては、体験型展示室「あじっぱ」の運営・管理、そしてボランティアコーディネートなどです。 

シャーンティニケータン大学の敷地内で、先生が黒板を使って授業をしています。野外授業はとても新鮮でした。

卒業論文のテーマのラビンドラナート・タゴール
インド研修ではオーダーメイドで作って頂いたサリーを着て、みんなでご飯を食べました。 

 博物館では、アジア楽器の展示プランを考えて定期的に展示替えをしたり、学校やイベントのワークショップをしに行ったり、ボランティアさんの活動のサポートをしたりします。ここでの仕事は、まさに筑女で学んできたことを活かせますし、館内でのイベントでアーティストの方々の演奏を生で聴くことができるなど、私にとっては自分の音楽活動の原動力にもなっています。もちろん、今までやったことがない、得意ではない業務もありますが、それを1つずつ克服した時の喜びを感じながら日々頑張っています。

 とは言いながらも一昨年の2月からのコロナウイルス感染の拡大は、仕事にも大きな影響をおよぼし、今までとは違う生活に変えざるを得ない状況になりました。行っている感染対策は様々ありますが、例えば、出勤時のサーモグラフィーでの検温と消毒、常にマスク着用、ドアの開放、できる限りの在宅勤務やリモートでの打ち合わせなど最善の注意を払って仕事を続けている状況です。では、担当のあじっぱをどの形で開室したらいいのか・・・民族衣装を着たりアジアのゲームで遊んだりなど実際に体験できることに意義のある場所でしたが、感染防止対策のため触れる体験は全て休止し、鑑賞のみに変更しました。

 コロナ禍でできないことが多い中、逆に、今までやってこなかった新しい展示プランにして観るだけでも楽しんでいただけるように工夫したり、持ち帰り用のぬりえや工作キットを置いたり、おうちで楽しんでいただけるように「おうちdeきゅーはく」動画を作成したりと、これまで思いつかなかった展示の形やアイディアが生れました。次はそれを活かす方法を考えていくことが大事だと思いますし、これからの私たちがやるべきことだと感じています。また、どんな時でも支えてくださる職員の方々が居てくださるおかげで、ちょっとへこたれそうになっても頑張れたことも多々ありました。感謝の気持ちは忘れてはいけないなと改めて感じました。

 みなさんもこの状況の中戸惑いを感じていると思いますが、焦ることなく今できることをひとつずつこなしていけば良いと私は思います。自分に合う職場は必ずみつかります。これからもひとつひとつの出会いを大切にして歩んで行ってください。

館外の民族楽器のイベントに、あじっぱの楽器を持っていき、演奏方法を教えました。
動画サイト「おうちdeきゅーはく」はいろいろ試行錯誤して完成しました。