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【日文の学び】大学生活を振り返って ❀ №1

来月卒業式を控える4年生は、卒業論文を含めすべての授業を終えました。
4年生に「筑女での大学生活をふりかえって」というテーマでエッセイを書いてもらいました。
今回は、その一部をご紹介します。

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筑女での5年間を終えて

  石川優実

 私の大学生活は絶望から始まったものだった。 

 私は小学生の頃から獣医師になるのが夢だった。苦手な数学も頑張って、理系に進み勉強に励んでいた。しかし、センター試験終了後、担任の先生から文転を勧められた。失敗に終わっても獣医学科を受験したい私と国公立大学合格という数字のために文転させたい先生。何時間話し合っても全く先生は折れてくれず、国公立大学入試まで1ヶ月を切っているにも関わらず文転することになった。その結果、勉強への熱意はゼロになり筑女に入学することになった。 

 筑女に入ってからの日々は楽しいながらも大変なことが多かった。まず、私は高校での文系科目知識が無い。日本史の講義を受講しても偉人の名前を知らないし、文学を学ぶにも文学に関することは何も分からない。1つのことを理解するために人の何倍も時間を費やさなければならなかった。その一方で、フランス語を学びながら語学の楽しさを知ったり、講義を通して異文化の面白さに気づいたりすることができた。 

 そんな中、私の人生を変えたのが毎年2月に実施されているインド研修である。この募集がかかったとき、「インドなんて、こんな機会でなければ一生行かないだろう」という軽い気持ちで行くことを決めた。現地での生活はとても楽しく、日本との違いを身をもって体験したが、私はインドで初めて貧困層の人々に出会った。そのとき、「私は世界のことを1ミリも知らなかったのかもしれない」と感じた。もちろん貧困層の人々の存在は教科書で見たことがあるし、話を聞いたこともあるが、どこかで別の世界のことのように捉えていた。彼らのことが頭から離れず、翌年にはボランティアを通して世界の現状を見る経験を積むことに決めた。 

 私の大学生活は、全く思いもよらない方向に成長した時間だった。まさか異文化に興味を持つとは思わなかったし、海外に行くことになるとも思わなかった。しかし、この5年間で興味のないこともやってみるとそこに面白さを見出せるということを知った。それを突き詰めれば人生が変わることも体験した。ここで何より大切だったのは行動力である。何をするにも自分が動かなければ始まらない。今後も、この5年間で学んだことや身につけた行動力・実践力を大切に過ごしていこうと思う。 

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No.106 **********