各学科からのお知らせNews from Departments

オープンキャンパス・ミニ講義(6/9)へのご参加、有り難うございました。

今年度2回目のオープンキャンパスを行いました。たくさんの高校生や保護者の方にご参加いただきました。皆さま、有り難うございました。

日本語・日本文学科の教室では、仏教学を専門とする宇野智行教授が、学科の紹介をした後、「説話文学における龍と雨」というタイトルでミニ講義を行いました。以下にミニ講義の概要をご紹介します。

日本人が持つ龍のイメージはどのように形成されたのか、日本の龍のユニークな点はどこにあるのか。この問題を探求するのが、ミニ講義のテーマです。

皆さんが想像する龍は、手足があり、角を生やし、雲とともに空高く舞い上がるイメージでしょう。このイメージは中国起源のものです。しかし、日本にはインド起源の龍も登場します。天長元(824)年に弘法大師・空海が雨乞いをした際、インドから善如龍王を勧請して雨を降らせた、という説話があります。この説話では、「八寸ばかりの金色の蛇が、九尺ばかりの大蛇の上に乗っている」と表現されています。

インドには龍は居ません。龍はいないのに、中国の訳経僧たちは「ナーガ・ラージャ(蛇の王の意)」という語を「龍王」と誤訳してしまいました。この誤訳が原因となって、蛇形の龍のイメージが生まれました。ただし、中世になると中国起源の龍のイメージだけが定着していき、蛇形の龍は少数派になります。

また、一角仙人説話、空海・守敏法力比べ説話にも、龍が登場します。これらの説話では、龍は「水瓶に封じ込められ」ます。「龍の封じ込め」によって、日照りが起こるのです。インド文献、中国文献では、「龍の封じ込め」は見当たりません。この「龍の封じ込め」こそ、日本の龍のユニークな点と言えます。説話を細かく調べて読むと、その変遷や特徴が浮き彫りになる格好の例でしょう。

説話や神話が大好きな方、荒唐無稽なお話しが大好きな方、日本語・日本文学科で膨大な説話の世界に浸ってみましょう。

専門的な内容を含むミニ講義でしたが、皆さん、資料を見ながら、熱心に聞いていました。ミニ講義後の質問コーナーでは、さまざまな疑問が寄せられ、それら一つ一つに対して、宇野教授が、時に板書しながら答えていました。
オープンキャンパスでは、個別相談も行われました。学科で取得できる資格・就職状況などについて、資料を提示しながら、訪れた方々に説明をしました。

このあともオープンキャンパスのミニ講義・個別相談のイベントが続きます。

次回は、7月13日(土曜)です。是非ご参加ください。詳細は、大学HPでご確認いただけます。