社会調査実習とは、社会学的な調査手法を使って実際に調査研究をおこなう授業です。「社会調査士」資格取得のための科目でもあり、現代社会学部では毎年数十名の学生が1年かけて調査活動を行っています。

複数の調査班がありますが、太宰府市をフィールドとする太宰府調査班の今年度の調査対象は、「商店街」です。九州でも有数の観光地である太宰府市には、太宰府天満宮参道をはじめ大小様々な商店街があるのですが、ここ2年はコロナの影響で大きなダメージを受けています。

今年の太宰府班の調査は、事実を調べるだけの社会調査ではなく、実際に地域の課題に取り組むことまでを含めた「アクションリサーチ」を目指しています。つまり、「調べる」だけでなく、「調べて、課題解決に取り組む」調査です。

授業では、太宰府市産業振興協議会の方々をお招きし、調査プランや課題の掘り起こしのための講義&ディスカッションをおこないました。調査実習は、学生用に用意された解答のある教材を使った「模擬授業」ではありません。地域の方々が工夫を積み重ねておられる課題に関与し、考え、課題解決のための実践をおこなうものです。つまり、失敗することもあれば、1年間の授業期間中には答えがでないこともあるということです。

しかし、本来の学びとは、半年や1年の調べ物で答えが出るようなものではありません。大学の学びの目的は、「考え続けること・学び続けること・実践を繰り返すこと」であり、正解を出すことではありません。なぜなら、社会にはそもそも正解など存在せず、我々は、正解が存在しないことを知りながら、少しでも理想に近づくための工夫を続けていくしかないからです。
社会調査実習は、私たちが現代社会をいかに生きるかを学ぶための授業なのです。