自然共生プログラムでは、人と他の動物との共生に取り組み、カワウソなどの野生生物の保全やイヌネコとの共生などをテーマに卒論を書いています。佐々木は2001年から福岡市動物愛護管理推進協議会会長、どうぶつ愛護フェスティバルinふくおかの実行委員長(2019年まで)として、福岡市と一緒に動物愛護に取り組んできました。

福岡市では、イヌやネコと共生するまちを目指しているのですが、ネコとの共生はまだまだ大きな課題です。ネコの殺処分は実質0となっていますが、弱っている子猫は最近でも200頭以上毎年殺処分となっています。また、餌やりや糞の苦情で福岡市家庭動物啓発センターはパンク寸前です。

昨年度は二人の学生が、福岡市の協力をえて、「福岡市のネコの殺処分を減らすためには」と「福岡市の住民アンケートから見る地域猫の現状と課題」をテーマにネコ問題に取り組みました。
ネコの殺処分については、ネコの苦情の発生場所と殺処分されるネコが持ち込まれた場所を、地図上に書いて分析を進めました。苦情や持ち込まれるネコは福岡市全体に広がっているのですが、一戸建ての数などから分析すると、博多区や中央区での取り組みが重要であることなどが明らかになりました。

地域猫の卒論では、福岡市が地域猫活動を支援している3地域でネットを利用したアンケートを実施しました。地域猫への理解が進んでいること、地域猫活動によって、糞尿や餌やりなどの苦情が減り、子猫の出産も減っていることが明らかになりました。これらの研究によって、自治会との協力が猫問題解決には大切であることが浮き彫りになってきました。

今年は、動愛法の改正によりから、イヌネコの販売は8週齢以降になり、販売するイヌネコにはマイクチップの装着の義務化され、繁殖回数や年齢が制限されるなど、大きな進展がありました。福岡市も、動物愛護推進実施計画の改訂を議論するために協議会で議論を開始しており、委員に卒論が配布されるなど、この調査結果が活用されています。