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特別研究会「『高尾山』をフィールドとした総合的学びの試み~市民活動と神社と大学の観点から~」を開催しました
- 2025年02月21日 -
2月21日(金) 14時~17時、1405教室にて、令和6年度筑紫女学園大学人間文化研究所特別研究会 「高尾山」をフィールドとした総合的学びの試み ~ 市民活動と神社と大学の観点から ~」を開催しました。三輪 貴代氏(「高尾山の自然と歴史を語り継ごう会」メンバー)、吉嗣 敬介氏( 石穴稲荷神社宮司 )、上村 真仁氏( 本学現代社会学部教授 )の3人の講師からのお話を聞き、意見交換を行いました。参加者は学内外から合計10名で、高尾山の自然と歴史と将来について語り合う、充実した意見交換の場となりました。



太宰府にある3つの日本最古物のひとつが、菖蒲浦古墳から出土した方格規矩鏡を包んでいた葛布(くずふ)であること、地蔵公園のお地蔵さんは廃仏毀釈の時に宝満山から放棄されたものであること、南小学校に西島伊三雄の描いた宝満山の油絵があること、など地元密着のお話を聞くことが出来ました。語り継ごう会は、年に一度太宰府小学校6年生に高尾山の学習と登山を提供したり、登山道を整備したり、わからなくなってる山の所有者を探したりする活動をされているそうです。
「宝満山が水田に映りこんだ姿は逆さ富士みたいで美しいですよ」と語る三輪さんに、山への愛情を感じました。
石穴神社の歴史について、史料が失われ明らかにするのが難しいなかで、口伝やご自身の学生時代の研究も踏まえてお話しいただきました。隣り合わせる本学の敷地の歴史についても、山側は石穴神社の代々の墓のあった敷地を先々代が譲ったこと、駐車場側は馬場地区の「たきもの山(共有林)」で、土地を売ったお金で馬場公民館が建てられたことなど、地域の歴史を教えていただきました。
石穴神社だけでなく大野城市の諸神社の宮司も務め、さらに会社経営もされているという吉嗣さんは、それらの職務だけでなく山の整備にも日々奮闘されているとのことです。「山を整備する大変さはまさに戦いです」というコメントに、自然との共生を甘く見てはいけないという現実を思い知らされる感じがしました。
上村先生が目下目指しているのは、「高尾山/筑女の森」の、里地里山として自然共生サイト認定です。上村先生の授業では、学生が山について学び、その資源をいかに用いるか考えるという実践が既になされています。
意見交換会では、竹をテーマとした留学生活動のアイデアや、磐座での自然の神聖さの体験談が飛び出したり、高尾川の蛍を増やしたいという声が上がったり、多様なコメントが湧き出てきました。これからの活動の課題は、地域の方々の歩みを参考にしながら、大学が山と継続的に関わっていけるかどうか、という点に落ち着きました。
美しさや生物多様性、伝統文化のコンテンツの宝庫、といった山の持つ価値を享受する、そのために如何にして継続的に山とかかわりあっていくかという仕組みづくりを考える。筑女の森での活動がそのテストケースとして機能することを期待しています。その模索の先達として、自ら道を切り開かれてきた市民活動や神社の取り組みから学ぶことは大きいと思います。ご参加いただいた皆様ありがとうございました。(小林知美)