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公開講座「第17回仏教学研究室公開講義「親鸞~その思想をめぐって③」を開催しました【生涯学習センター】

11月12日(土)飯塚市の浄土真宗本願寺派明正寺様に会場をお借りして、第17回仏教学研究室公開講義「親鸞~その思想をめぐって」③“悪人~親鸞の人間観~”を開催しました。
講師は本学人間科学部人間科学科人間関係専攻講師の宇治和貴先生です。
3回目の今回は、親鸞聖人の思想のなかでも代表的な「悪人正機」ということについてお話しいただきました。
はじめ『歎異抄』第三条を音読しながらこの意味について考えていきました。一般的には、他人を「悪人」と決めつけて自らの傲慢さや愚悪さを自覚していない「善人」が救いから遠い存在であり、深い反省を通して自らの悪性に気づいた「悪人」が救いのうちにある存在だと語ったお話、と理解されていることを紹介されました。次に、「悪人正機」については戦後、数多くの研究者から様々な問題が提起されており、主に①悪人正機説がどのようにして成立したかといった社会的背景について②悪人正機説は親鸞聖人が初めて言ったことではないのでその提唱者はだれかという問題について③悪人正機とはいかなる思想なのかについて、議論されているということでした。
最後に親鸞聖人における「悪人」の概念について『唯信抄文意』をもとにお話しされました。鎌倉時代に「悪人」とは差別的なあつかいを受けていた人々を意味する言葉として一般的に使用されていたそうです。そのようななか親鸞聖人は「屠沽(とこ)の下類(げるい)=非差別的民衆」・「悪人」と呼ばれた人々が、本来「こがね」のような尊い存在であることを自覚するように促すことが伝道の第一目的と考えられていました。この考えは、親鸞聖人自身が流罪になり下類の一人になったことにより成立したものだそうです。
親鸞聖人の思想の根底には、善悪の相対的な判断基準を排し、すべての人間を等しく仏になる尊い存在とみなす絶対平等の宗教的人間観があるのです。
次回は「往生」というテーマで、極楽と救済について考えます。
*今後の予定は、以下のとおりです。
④11月26日(土)
テーマ:往生~極楽と救済~
講師:宇野智行(文学部日本語・日本文学科准教授)
⑤12月10日(土)
テーマ:念仏~仏の名のりを聞く~
講師:小山一行(文学部アジア文化学科教授)
●公開講座の詳細・受講申込みはこちら
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