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公開講座「子どもの心とウェルビーング」④を開催しました【生涯学習センター】

10月22(土)筑紫女学園大学8103教室において『子どもの心とウェルビーイング④「発見された子ども」とは?-子どもの幸福論-』が開催されました。
講師は本学、人間科学部心理学科人間関係専攻の浅田淳一教授です。
人間科学部人間関係専攻主催である連続講義「子どもの心とウェルビーイング」は、4週間にわたり「子ども」の「心とは何か」そして、その「幸福とは何か」を、福祉と心理の両側面で、参加される方々と共に学び考えていく事をテーマにしてきました。
最終日である今回の講義は「子ども」の幸福論を、講師の専門分野である「ルソーの哲学」の視点から、一緒に考えました。
従来は、子どもは「未完成な大人」として位置付けられ、従って、子ども時代は、単に大人になるための準備期間に過ぎませんでした。子どもは、早くその身分に相応しい大人になり、その身分に相応しい幸福を手に入れるようにせき立てられていたのです。現在でも、必ずしも確実でない将来のために、遊ぶ暇もなく受験勉強に縛りつけられている子どもたちを見ると、こうした「子ども観」が、今でも根強く残っていることがわかります。
それに対して、ルソーは、子どもには、子どもにしか体験できない固有の世界があり、そうした子ども固有の世界を十分に体験しつくすことが、人間の生涯にわたる幸福のためには、不可欠のことであることを強調しています。そこで、子どもが、将来のために、もっとも豊かな現在を犠牲にすることが、如何にナンセンスなことであるかが、ルソーのテキストに沿って、力強く説かれました。子どもたちが「今」を生きる事、そして、今でしか味わえない幸福を味わい尽くすことが、子ども自身にとって必要であるだけでなく、これからの人生全体にとっても、非常に重要である事が、配布資料(ルソーのテキスト)を用いて、説明されていました。
また、「人間は社会で生きれば生きるほど、自己と他者を比較することや、競争によって欲望が絶えず増えていき、自然状態におけるように他者と共生して生きるよりも、そうした増大する欲望を満たすために、ずる賢く他者を利用しないと生きていけなくなっている」というのが、ルソーの現状認識であり、それだからこそ、「そうした堕落した社会に触れていない純粋な赤ちゃん(子ども)のみが、一番の自然人であり、人類の唯一の希望なのだ」というルソーの哲学的体系が、ルソーによる「子どもの発見」の背後にあることが、ルソーの文献を用いて、を分かりやすく説明されていました。
私は今回の講義で、自分で自分の人生を生きる事の重大さを改めて理解しました。
子どもだからとの理由で、大人が自分の価値観を押し付けて人生を決める事は、必ずしも子どもの「幸福」に繋がらない。子どもには子どもの価値観がきちんと存在し、それが将来の夢になっていくと思いました。
また、参加者の方々も熱心に受講しておられ、質問コーナーでは、最後まで分からなかったことを細かく聞いておられました。
特に印象に残っているのは、Spoiled Adult「ダメになった大人たち」のところで、「大人たちが、自らの欲望の為に、他者に依存せざるを得なくなり、自由を失ってしまうことになる」という話との関連で、講師が「いじめ」について話をなさっていたことです。
人は無視を怖がり、いじめられている人は無理して仲間になろうとするけれど、それこそが、いじめる人々の思うつぼであり、その時は「一人なら気楽でいいや」という気持ちで、他者の目を気にすることなく、迷いなく自分の生き方を貫く事も大事なのではないか、と答えられていました。
報告/文学部 人間福祉学科3年 小笹 真由 (公開講座サポーター)
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