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公開講座「日本文学と異文化-インド・中国・日本-②」」を開催しました【生涯学習センター】

10月22日(土)太宰府市いきいき情報センターにおいて、『日本文学と異文化-インド・中国・日本-』の第2回「近世小説と中国文学」が開催されました。
講師は、文学部日本語・日本文学科准教授の安永美恵先生です。
この講座は、日本の近世小説をとり上げ、中国文学作品を基にどのように江戸時代小説として作品化したのかを、仮名草子『伽婢子』や読本『英草紙』『雨月物語』等の例を挙げて説明するものでした。それによれば、中国文学の利用の仕方には、単語や挿話のレベルから作品全体の構想に関わるもの、更にそれを組み合わせたものまでさまざまのようです。今回の講義を聞いて、いかに近世小説が中国文学から影響を受けているか、そして近世文学・中国文学の奥深さを知ることができました。
今回の話の中心として取り上げられたのは『雨月物語』の「菊花の約」です。これは中国白話小説集『古今小説』中の一話を原話として、その筋をかなり忠実に追う翻案小説で、死をもって貫き通す信義と友情の物語です。この中で、わたしが興味を持ったのは、冒頭の「交りは軽薄の人と結ぶことなかれ。」という一節です。終わりにも同じような一節があり、リフレインという表現方法を通して、小説に深みをもたらしているということでした。現代でも使われるような表現方法を使って作品が書かれていることに驚きました。また、「軽薄の人」とは誰なのかを探す諸説の中には、読者のことを指すという解釈もあると聞いて、確かにそういわれるとそう思えてくると納得すると同時に、「軽薄の人」というのはおおいに自分にもあてはまることであると感じました。死してまで約束を守り抜こうとすることは、現代から考えると少し大げさに感じてしまいますが、その心意気はとても大切なものであるし、見習える部分があると思いました。現代にも通じるところのある近世小説をほかにも読んでみたくなりました。
報告/文学部日本語・日本文学科1年 萩野恭子(公開講座サポーター)
*第3回は、以下のとおり開催されました。
③10月29日(土)
テーマ:妖婦の物語-『後漢書』から泉鏡花へ-
講師:桐島薫子(文学部日本語・日本文学科教授)
●公開講座の詳細・受講申込みはこちら
http://www.chikushi-u.ac.jp/campaign/lecture/