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公開講座「第14回仏教文化講座「親鸞~その著述をめぐって」⑤を開催しました【生涯学習センター】

 7月6日(水)太宰府市いきいき情報センターにおいて第14回仏教文化講座「親鸞~その著述をめぐって~⑤『歎異抄』」を開催しました。
 講師は、本学人間科学部人間科学科人間関係専攻講師の宇治和貴先生です。
 この講座は、浄土真宗の宗祖親鸞聖人の説かれた教えを、親鸞聖人ご自身のお言葉から学んでいこうという全5回の連続講座です。今回はその最終回、『歎異抄』です。
 まず、『歎異抄』の成立についての説明がありました。実はこの『歎異抄』、親鸞聖人の直接の著作ではなく聖人がお亡くなりになられて二十~三十年後にお弟子さんのひとりであった唯円が書いた、という見方が最も一般的だそうです。ただ、この原本は残っておらず、現存する最古の蓮如の写本は唯円が書いてから約二百年後に書かれたものだそうです。
 では、その二百年間どう保存されていたか。実はそれも不明で、親鸞聖人のお言葉を書いたものとして大変有名な『歎異抄』ではありますが、「これは伝本であるので、著者なりの理解が入っているという事に気をつけて読まなければいけません」と、宇治先生はおっしゃっていました。
 次に、序文から各章へと、およそ書かれている内容を、分かりやすく説明していかれながら、その時々で原文にも触れて読んでいきました。
 私が最も印象的に残ったのは、第3章の有名な『悪人の往生』について、です。
 「悪人なほ往生す。いかにいはんや善人をや。」「悪人だって往生するのだから、善人の私は何もしなくても絶対往生するのですよね。」そう思う人々が多く現れたそうです。しかし、自分が「善人」である、と言うには「悪」を相手の方におかないといけません。そのような考え方は、間違っている、と親鸞聖人はおっしゃったのです。宇治先生は、「自分は善人という人は、自分自身の内側にある“悪”を見られない人、“悪”の自覚がない人なのですね。しかし、人は誰でも自分の内側に“悪”や“弱さ”を持っているものなのです。親鸞聖人は、そのような“悪”ときちんと向き合える“悪人”こそ弥陀に救われる、とおっしゃったのです。」と説明してくださいました。
 自分の中の“悪”や“弱さ”と向き合うというのは、とても勇気のいる事だと思います。自分の心の中には、たくさん弱さがあると知ってしまうと、臆病になり、色々な挑戦ができなくなるのでは、とも思ってしまいます。しかし、そのような“悪”や“弱さ”と少しずつでも向き合っていけば、「このような“弱さ”を持っているものは実は自分だけじゃない。みんなそういう部分は持っているんだ」と気づき、もっと人に優しくなれるかもしれない、と思いました。
 当日は、夕方からの激しい雨にもかかわらず、多くの受講生が来てくださり、時間ぎりぎりまで質問をされたりと、みなさん熱心に宇治先生のお話に耳を傾けられていました。
 親鸞聖人のお言葉は、自分自身の内面と向き合って考えていくとても深いものだと思いました。これからも、多くの人々との出会い触れ合っていく中で折に触れて聖人のお言葉を思い出し、その度々で反省ができる人になりたい。そのような気持ちになれた講義でした。
報告/文学部 日本語・日本文学科 江藤 ゆり(公開講座サポーター)
*平成23年度後期は、10月~12月に「仏教学研究室公開講座『親鸞~その思想をめぐって~』」を開催する予定です。
 詳細が決まりましたら、ホームページ等でお知らせします。
 受講希望の受付は、9月1日からです。
●公開講座の詳細・受講申込みはこちら↓↓↓↓
http://www.chikushi-u.ac.jp/campaign/lecture/index.html