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公開講座「こどもと家族③赤ちゃんと親との絆-乳児の社会的情緒的発達」を開催しました【生涯学習センター】

 7月24日(土)筑紫女学園大学8号館1階8103教室において、こどもと家族③「赤ちゃんと親との絆-乳児の社会的情緒的発達」を開催しました。
講師は、本学発達臨床心理学科講師 森田理香先生です。
 本講座は、全4回を通して行われます。第3回目の今回は、赤ちゃん時代の発達についての話でした。
 赤ちゃんについてとりあげる理由としては、人の人格形成は乳幼児期における社会情緒的発達が土台になるからということでした。つまり、基礎がしっかりしていることがその後の人格形成に大きな影響を及ぼすので、この時代の発達の重要性を認識する必要があります。昔は、赤ちゃんは何もできない無力な存在と考えられていましたが、科学技術の発達で赤ちゃん研究が進歩し、生まれながらにして色々な能力を持っていることが分かってきているそうです。
 赤ちゃんが生まれ持っている能力のひとつに、親の養育行動を引き起こす、新生児微笑や情動伝染などがあげられます。新生児微笑によって親子でのコミュニケーションが生まれやがて社会的微笑へと変化していきます。さらに、親子の情動的コミュニケーションには社会的参照、情動調律、などがあります。社会的参照は例えば、こどもが初めて虫を見て怖いものなのか大丈夫なものなのかわからないときに、お母さんの表情を見て判断することで、10カ月前後から見られるようになります。このようにして、赤ちゃんは社会化してゆきます。
 これらのやりとりを通じて、養育者との間に愛着が形成されます。愛着はこどもが親密な人に抱く情緒的絆のことです。3歳くらいになると目の前に愛着対象(主に母親)がいなくても対象が自分のところに戻ってきてくれる、助けてくれるという確信をもてるようになります。
 さいごに子育てはこどもの持っている能力を阻害しないことが大切で、また一人で育児をしようとしたり、何でも抱え込んでしまったりするのではなく、周りの人とかかわり合いながら育児をすることが大切とのことでした。
 今回は講義で基礎的な理論を学ぶのと同時に、赤ちゃんの0ヶ月から12ヶ月までの成長を追ったビデオを用いて説明がありました。実際の映像を観ることによって、より具体的に赤ちゃんの発達について理解することが出来ました。新生児微笑は寝ている間にも生じており、反射で生じるということを実感できました。赤ちゃんは何かをするときは必ずお母さんの顔を見ており、赤ちゃんにとってお母さんの存在はとても大きいものだなと感じました。赤ちゃんの発達には親からのたくさんの働きかけが大切だと改めて思えるものでした。
                   (報告/発達臨床心理学科4年 入江愛美)
*次回は、8月28日(土)に開催します。
テーマ:むずかしい子どもの育ち どうしますかこんな時 ――少しだけワークショップ
講師:酒井 均(本学発達臨床心理学科教授)
●公開講座の詳細・受講申込みはこちら
http://www.chikushi-u.ac.jp/campaign/lecture/index.html