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公開講座「こどもと家族②保育者が子どものことを親とわかりあえるために」を開催しました【生涯学習センター】

 6月26日(土)筑紫女学園大学8号館1階8103教室にて『こどもと家族②「保護者が子どものことを親とわかりあえるために」』が開催されました。
 講師は本学発達臨床心理学科の大元千種准教授です。
 本講座は、全4回を通して行われます。第2回目の今回は、現在また深刻となっている、子どもと親と保育者の関係の問題について、保育の場でどのように取り組まれているのかということを話されました。
 親には「気になる親」と「困った親」とに分かれるとのことです。子どもが朝からぐずぐずする、いきなり友達を突き飛ばすなどの問題行動が見られた時、保育者は親が気になるので「気になる親」と言います。それに対して言われもしない苦情を言ってくる、親同士にトラブルがあるなどの親自身が問題となっている場合を「困った親」と言います。最近の特徴としては「気になる親」よりも「困った親」の問題が増えてきています。「困った親」は裁判の問題になってしまうこともあり、際どい問題となっています。保育者にとって親との関係が課題となっています。
 2001年に児童福祉法の一部改定、2002年の保育士課程の改定、2008年には保育所保育指針の改定・告示、2010年は保育士課程の改定などと制度や法律が変わってきています。
保育園に来ている子どもの家庭が機能せず、親が孤立するとともに子どもを理解することができていません。保育者は常に子どもの味方であり、子育ての仕方が分からない親が増えてきていることに気づきませんでした。家庭が成り立っていないことが意識化され始め、制度が変わりましたが、子ども、保育者、親の関係は悪くなってきています。
 1970年高度経済成長の時代、「新しい貧困化」が問題となり、経済の発展の中で子どもの教育が大変になり、親が生活の主流となり子どものことを考えられなくなっていました。世の中は豊かになっているのに「今までにない危機的状況」と言われていました。そして、今はさらに貧困化がグレードアップしてきています。
 1970年代後半は、保育者が子育てに対する「正論」が提示されていました。しかし。1990年代にやっと「親の孤立化」、「育児不安」が社会問題化され、保育所は子育ての場ではなく、保育の場であり、子育ての主体は親であるとなりました。
 保育者が親と子どものことを分かりあえるためには、親を子どもの付属物と見るのではなく、親の気持ちに寄り添い、共感できる気持ちを持ち、親を理解できる目を持つことが大切なことだそうです。
 共感する気持ちは、保育者と親との関係以外でも大切なことだと思いました。人間は自分が一番大変だと思っていると言われた時はそうだなと思いました。自分のことばかりを考えるのではなく、相手の立場に立って相手の気持ちを理解しようとする気持ちが人間関係ではどんな時、どんな場所でも大切なことであると思える講座でした。
                      (報告/日本語・日本文学科2年 塚元 あゆみ)
*次回は、7月24日(土)に開催します。
テーマ:赤ちゃんと親との絆―乳児の社会的情緒的発達
講師:森田理香(本学発達臨床心理学科講師)
●公開講座の詳細・受講申込みはこちら
http://www.chikushi-u.ac.jp/campaign/lecture/index.html