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公開講座「『維新起原太宰府紀念編』の和歌⑦」を開催しました【生涯学習センター】

 5月8日(土)本学1号館1202教室を会場に、公開講座「『維新起原太宰府紀念編』の和歌⑦」を開催しました。講師は本学発達臨床心理学科教授の赤塚睦男先生です。
 本講座は、江島茂逸『維新起原太宰府紀念編』第7章「五卿排悶の詩歌」の和歌を読むものですが、今回はその前に、以前受講者の方が質問された太宰府・観世音寺に有る長塚節歌碑についての話がありました。
 明治時代の歌人・小説家である長塚節の「手をあてて鐘はたふとき冷たさに爪叩き聴くそのかそけきを」という歌です。
 私は、初めにこれだけを聞いた時、「鐘に手をあてたら冷たくて、爪で叩いたら音がしたのだな。」としか思いませんでした。長塚節のことを知らない人は大体このように思うことだと思います。しかし、長塚節の日記や手紙を読むことにより、長塚節がその時どれ程の苦しみの中でこの歌を詠んだのかを感じる事ができます。
 長塚節は太宰府という場所を何度も訪れていました。結核で苦しみながら、太宰府を訪れ、この歌を詠んだと思うと胸が苦しくなるような思いでした。赤塚先生は、「調べてみて歌を読んだ時に心が打たれた」と言われていました。歌だけを読むのではなく、調べて分かることがあると言われていたことが心に残っています。
 次に「五卿排悶の詩歌」では、東久世通禧の歌を参考資料を元にしながら読みました。その中の1首「心さへ引かれけるかな子日する小松が原の鶯の声」という歌が印象に残っています。松と鶯の組み合わせというのは珍しく、歌人の力を試す難題とのことです。歌を詠む時、題というのは歌人にとって1つの鍵となるようです。
 講座の途中や終わった後、受講者の方からの質問や意見がありました。その時、赤塚先生と受講者の方が笑い合いながらお話をされている様子を見ていて、先生と受講者の方との距離があまり無いように思いました。赤塚先生自身、受講者の方から学ぶことも多くあるとのことを言われており、先生と受講者の方、お互いに良い影響をし合えている講座であると感じました。
 和歌をただ読むだけでなく意味を深く知ることで和歌の本当の姿が見えてくるのだと思いました。和歌を読む時はその和歌の背景を知り、意味を深く理解してから読みたいと思うようになれる講座でした。
             (報告/日本語・日本文学科 2年 塚元 あゆみ)
次回は、11月 13 日(土)に開催する予定です。
●公開講座の詳細・受講申込みはこちら
http://www.chikushi-u.ac.jp/campaign/lecture/index.html