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公開講座「文学と歴史による時空の旅―京都・北九州・沖縄―」②を開催しました【生涯学習センター】

 10月10日(土)に太宰府市いきいき情報センターにおいて、「文学と歴史による時空の旅―京都・北九州・沖縄―」の第2回を開催しました。
 今回の講師は、本学日本語・日本文学科の時里奉明准教授です。
 『「鉄都北九州」の誕生―近代化の「語り」―』というタイトルで、北九州がいつどのようにして近代化していくのか、製鉄所立地に関する技術者や政治家の構想から探っていきました。
 はじめに、「鉄都北九州」と称されるように、官営製鉄所の存在が北九州の経済をはじめ政治、社会、文化に大きな影響を与えたことが話されました。そのあと、まず筑豊炭田は1880年代後半から生産量を急増させ、日本最大の産出地になったこと、次に石炭を運ぶために鉄道が建設され、石炭を積み出す港として、門司港や若松港が整備されたことが説明されました。つまり、北九州の近代化は、筑豊炭田と密接な関係にあった鉄道と港湾の開発から始まったのです。
 次に、技術者と政治家の製鉄所立地に関する構想について見ていきました。製鉄技術者の小花冬吉、実業家である今泉嘉一郎は門司周辺が製鉄所建設に適していることを説き、政治家の金子堅太郎も門司から遠賀川までが工業地になるであろうと演説で述べています。彼らは、鉄道と港湾が整備された北九州に製鉄所を立地することで一致しています。さらに、福岡県出身の金子は北九州を工業地にするという地域構想があったと考えられます。
 当時の彼らには、自分たちの地域をこのようにしたい、という構想力の豊かさがあると先生はおっしゃっていました。北九州が近代化の道を進んだ背景には、筑豊炭田の豊富な石炭、鉄道と港湾の便、中国大陸に近いという利点を生かした、開発構想があったのだと思います。この地域をいかに発展させるかという人々の思いは、私たちの生活の原点でもあるように感じました。
                    (報告/日本語・日本文学科2年 田原夏美)
*次回は10月17日(土)に開催します。
テーマ:「大城立裕『小説琉球処分』を読む―琉球王国の終焉」
講師:松下博文(本学教授)
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