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公開講座「仏教文化講座 親鸞~その生涯をめぐって~」⑤を開催しました【生涯学習センター】

 7月8日(水)に、太宰府市いきいき情報センターで、第12回仏教文化講座「親鸞~その生涯をめぐって」を開催しました。
 講師は、本学准教授の栗山俊之先生です。
 全5回最後の講座では、「親鸞の往生」、そして「往生から本願寺の成立」までの話しを行われました。
 親鸞の広めた教えに対して『造悪無礙』、すなわち「他力によって罪人・悪人も救われるのなら、いかなる罪を犯してもかまわない」と説く者が現われ、混乱を起こしました。そしてそのことは、そもそも「国土を乱す」ものとして、念仏の教えを疎ましがる権力者に、格好の弾圧の口実を与えることとなりました。こうして起こった“建長の念仏弾圧”の中で親鸞は、関東教団を混乱に陥れた善鸞を義絶し、弾圧する権力者について「弾圧する者も、真の教えに出会い、救われなければならない」と説き、また混乱した門弟たちに向っては、「この出来事を通してあなた方の信心が、揺るぎやすい、“偽物”であったという事が明らかになったのは良い事だ」と述べています。
 真実を知ろうとすれば、真実ならざる自己の姿もまた明らかとなります。しかし、だからといって罪や悪を犯してもかまわないのではありません。親鸞は、真実を求めることの証(しるし)として信に基づく新しい生き方を求め、念仏者として真に自律し連帯すべきだと教えたのです。
 弾圧を経て晩年の親鸞は、よくその信の究極の表現と評される自然法爾(じねんほうに)を説きました。そこでは「自ずから然らしめる世界、それは、真実の方から既に私たちにはたらきかけてくださっている世界であり、それこそが他力である」と語られました。
 親鸞が往生をむかえる数日前に門弟に宛てて書かれた手紙では、“自分を支えてくれた様に、私の身内を支えて欲しい”と懇願されています。親鸞の人間らしい温もりと、愛情が見えるようです。親鸞90歳、1263年1月16日、覚信尼・益方・顕智・専信・尋有・蓮位に看取られ、往生を果たされました。やがて、末娘の覚信尼をはじめとする多くの人々の願いによって大谷廟堂が建立され、その廟所を守るものを留守職と呼ぶようになりました。その後、紆余曲折を経て覚信尼の孫である覚如が留守職となり、廟所を“本願寺”と号して寺院化しました。これが現在の西本願寺・東本願寺(通称)の起源となるものです。
 第1回から今回の最終公開講座を通して、親鸞が往生されて750年近く経った現在でも、その教えは、多くの人々に広まり、強く生き続けているのだと感じました。
                   (報告/日本語・日本文学科 2年 山本 侑加)
*平成21年度後期は10月にえーるピア久留米にて、『仏教入門』の講座を開催する予定です。詳細が決まりましたら、ホームページ等でお知らせします。
 
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