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公開シンポジウム「地域でともに生きシステムで支える」を開催しました【生涯学習センター】

 7月4日(土)に、本学8302教室において「公開シンポジウム 地域でともに生きシステムで支える」を開催しました。
 発達障害をもつ子どもが地域で生き生きと過ごすためのよりよい発達支援を、春日市の小学5年生T君の事例をもとに考えていきました。
 始めに、本学教授の酒井均先生より、基調講演「乳幼児期からの発達支援を考える」が行われました。福岡県内で「気になる子(扱いに困る子)がいる」と答えた幼稚園・保育所は5割に上るにも関わらず、支援をしてあげられないという現実があります。また、発達障害の早期発見が重要である反面、乳幼児期は「変化が速い」症状特定が難しい」という困難が挙げられました。
 シンポジウムにおいては、6名のシンポジストによる講演が行われました。春日市療育訓練施設「くれよんクラブ」の十時先生より、就学前の子供に対して行っている発達支援の概要と通っていたT君の療育内容のお話がありました。そして、春日市教育委員会(学校教育課)の高瀬さんより、配慮が必要な子どもの就学までの流れについて説明がありました。次に、春日市「ことばの教室」の藤原先生、三浦先生より、「ことばの教室」でのT君のこれまでの成長についてお話がありました。T君が着実に成長していることが良く分かり、同時に中学へ向けての支援の必要性を感じました。学習支援教室「からーぼっくす」の頼永さんからは、T君にとって分かりやすく学習を進めていく個人指導についてお話がありました。どの支援においても、T君個人に合わせた工夫がされていることが分かりました。
 自閉症、LD、ADHD、アスペルガー障害といった発達障害には早期発見が大切ですが、障害があると決め付けてはいけません。「自分にはどうしてできないんだろう」と困っているのは子どもであり、理解してもらえずに悩んでいる保護者が多いことも事実です。実際にシンポジストとして参加されていたT君のお母さんは、これからT君が社会に出ていく上で不安もあると言われました。私たちにとって街の中で発達障害の子どもに気付くようなことは難しいと思われますが、周囲の人々に発達障害の理解があるかないかで、本人と家族の不安は重くもなれば軽減もすると思います。保護者と学校がお互いに理解し、地域も理解しようとすることが大切だと思いました。保護者や学校はもちろん、私たちも地域の一人として積極的に知識を得ていく必要があると感じました。
                  (報告/日本語・日本文学科2年 田原夏美)
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