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平成21年人権委員会主催第一回人権講演会を開催しました

平成21年人権委員会主催第一回人権講演会を開催しました
●講師 渕上継男氏
(子ども・福祉総合研究所、NPO法人チャイルドライン「もしもしキモチ」代表)
●講演題目「子どもの命・生活・発達をめぐって」
 講師の渕上先生(元西南学院大教授・臨床心理士、児童心理・児童福祉専門)は、福岡市児童相談所長、生涯福祉課長、福祉センター所長を歴任された後、西南学院大学で教鞭をとられ、現在二つのNPO法人の代表をされる児童福祉のエキスパートです。講演では、これまでチャイルド・ラインなどを通して関わられてこられた子どもたちの体験と語りから、子供をめぐる深刻な事件や問題の数々が明らかにされ、集まった学生や教職員たちは熱心に聴き入りました。
 子供のめぐる悲惨な殺人事件や暴力の数々、赤ちゃんポストの設置後の経過などを通して深刻化する幼・若年層問題が渕上先生によって指摘されました。さらに「自分が孤独」と答える児童の割合が29.8%(2007年ユニセフ調査)と、先進国中突出して高いこと、また「自分が生まれてこなければよかったと思うことがある」小中学生が36%と、想像をはるかに越える子供の窮状が明らかにされました。これらを通して先生は、「いのち」と「共生(つながり)」をキーワードに、子供たちと向かい合うことの重要性を強調されました。先生が関わるチャイルド・ラインを通して聞こえてくる子供の声は、私たちの「子供」に対する見方を再検討させるものでした。寄せられた学生たちのコメントには、「子供はよく現実を把握している」、「子供は親の顔を見ている」、「把握できていないのは大人たちのほうではないか」といった意見が多く見受けられました。また「核家族化に携帯電話が加わり、人間的なつながりがさらに希薄になったのではないか」というコメントもありました。チャイルド・ラインは、学生を含めたボランティアにより支えられている支援活動で、この講演を聴いた学生の中にもすでに活動中のボランティアがおり「さらに使命感を強くした」とあり嬉しく思いました。この講演によって、少しでも多くの学生が、子供の「いのち」と「共生(つながり)」について、考えを深めてくれたことを願ってやみません。
(写真上:聴衆に熱心に語りかけられる 渕上継男 講師)
(写真下:講師紹介を行うアジア文化学科 喜多村百合 准教授)