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大学開学20周年、英語学科開設20周年記念 公開講演会を開催しました。

10月18日(土)福岡アジア美術館 あじびホールにおいて、本学開学および英語学科開設20周年を記念した公開講演会が開催されました。
ピューリッツァ賞受賞コミックス「マウス」をはじめ海外コミックスの翻訳や映画・アニメ評論で知られる小野耕世さんが、「世界にひろがるMANGA~欧米文化と日本・アジア」をテーマに、グローバル化するマンガについて語られました。
小野さんは冒頭、「今日の演題の“MANGA”が、アルファベットというところがポイントです」と話され、「『日本マンガ』が世界を征服しているのではなく、『日本スタイルのマンガ』が世界に広がっている」と強調されました。
マンガのスタイルには3種類があり、日本スタイルは、新聞の連載マンガとして発達したアメリカ式マンガや芸術性の高いハードカバー製ヨーロッパ式マンガに比べ、かなり独自性があるそうです。
小野さんはその特徴を、「大きな瞳」「女性マンガ家が目立つ」「少女マンガや学園マンガなど日常を描く物語性」「突然リアルからギャグに変換する技法」――などと挙げられ、「日本式のテクニックは国際性を持ち、すでに多くの外国人作家が自分たちのモノにして表現し始めている」と解説されました。
中でも、「瞳の大きな女の子」の発祥は手塚治さんの『リボンの騎士』だといわれており、小野さんは手塚さんが生前そう認めておられるのを直接耳にされたそうです。
世界で活躍する若手マンガ家たちの作品の紹介もありました。
たとえば、ロシア生まれでカナダ在住の女性マンガ家の作品「DRAMACON」の主人公は、シリアスなシーンでは8等身の美形に描かれ、ズッコケシーンになると突然2等身になりコミカルタッチで描かれており、「日本人のマンガ?」と思うほど親しみを感じました。
ほかにも、昨年「国際漫画賞」奨励賞を受賞したオーストラリア女性の「HOLLOW FIELDS」や、ドイツ人女性が日本のバンドマンの日常を詳細に描いた作品「YONEN BUZZ」などが次々とプロジェクターに映し出されました。
講演はさらに小野さんの父でマンガ家の小野佐世男さんが、大戦中、徴用されたインドネシアで現地の若手画家らを指導した話にも及びました。
戦争と平和をつなぐ日本のマンガと世界のかかわりについて思いをはせる講演会となりました。
(報告/大学院 人間科学研究科 坂口紀美子)
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