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公開講座「アジア塾~酒と人の物語~」(第2回)を開催しました。

先週から始まりました「アジア塾」の第2回目が、10月9日(木)福岡市男女共同参画推進センター・アミカスで開催され、本学 アジア文化学科教授の秦 惟人先生が「中国の酒」をテーマにお話し下さいました。
お酒をよく飲む人のことを“飲んべえ”と言いますが、中国では「酒鬼」と称され、猿が作った酒を木こりが盗飲した とか、伝説上の帝王、禹は酒の美味しさで国が滅びるのを危惧して禁酒令を出した――など、多くの酒伝説が残っています。
3世紀ごろ、賢者が竹林に集い、酒を飲んで清談を交わしていたという「竹林の七賢」の逸話はとても有名です。
日本に日本酒と焼酎があるように、中国にも醸造酒の「黄酒」と蒸留酒の「白酒」があります。
12世紀初めに書かれた現存する最古の醸造技術書『北山酒経』には、「酵」を利用した「黄酒」の造り方が書かれ、紹興酒の源になったと言われています。
しかし、同書には「白酒」の造り方は記載されておらず、秦先生は、さらに昔の唐の時代に起源がある説と、蒸留法がシャム(現タイ国)から伝来された元の時代以降にさかんに作られたという説があることを注釈されました。
ところで、中国と言えば「紹興酒(=醸造酒)」のイメージが強い方も多いでしょうが、現在の中国酒は「白酒(=蒸留酒)」が8割を占めるそうです。
「白酒」にはアルコール度数65度の「汾酒」や、低温多湿の特異な風土で造られる貴重な酒「茅台酒」などがあり、伝統的な中国の宴会では「白酒」での乾杯が通例です。が、最近は「まずはビールで乾杯!」が主流となりつつあるそうで、なんと4年前からはビールの消費量世界一を記録しています。
また、講座の中で秦先生が、李白の「将進酒」や杜甫の「飲中八仙歌」などの漢詩を吟じられる場面があり、受講生の中には一緒に諳んじる方もいらっしゃいました。
中国のお酒と詩は、時を超え、距離を超えて愛されているということを知ることができた講座でした。
次回のアジア塾は、16日午後7時から同会場で開催します。
さらに西アジアにまで地域を広げ、アジアの酒の歴史に迫ります。どうぞご参加ください。
(報告/大学院 人間科学研究科 坂口紀美子)
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