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公開講座「文学と南(5)」①を開催しました。【生涯学習センター】

 10月14日(土)、福岡市赤煉瓦文化会館にて公開講座「文学と南(5)喜界島の文学と風土―芥川賞と直木賞・安岡伸好と安達征一郎の世界―」の第1回目「奄美群島の文学と風土」が開催され、文学部教授の松下博文先生が講師を務められました。

 最初に奄美出身の文学者、芸術家、思想家が生年月日順に20名取りあげられました。明治11年生まれの昇曙夢(ロシア文学者・瀬戸内町加計呂麻島出身)、明治38年生まれの泉芳朗(詩人・徳之島町伊仙町出身)、大正7年生まれの安岡伸好(小説家・喜界島出身)、大正15年生まれの安達征一郎(小説家・東京で生まれ、喜界島で少年期を過ごす)等、あまり聞いたことがない名前ばかりでした。しかし、安岡伸好と安達征一郎は芥川賞と直木賞の候補となり、優れた作品を残した作家でした。
 次に、彼らが育った奄美群島がどのような地理的空間だったのか、実際に地図で確認しながらその特異性について学んでいきました。さらに、これらをふまえて、沖永良部出身の一色次郎、ルーツを沖永良部にもつ干刈あがた、安岡伸好、安達征一郎、沖縄出身の大城立裕の経歴と作品のあらすじが紹介されました。
 説明を聞くうちに、「奄美」から見た「薩摩」(日本)、「琉球」(沖縄)の境界が見えてきました。そして、彼らの作品には奄美や沖縄の独特な歴史や地理的空間、それによって育まれたアイデンティティーが大きく影響していることを理解することができました。
 私たちはつい沖縄にばかり目を向けてしまいがちですが、「薩摩」(日本)と「琉球」(沖縄)から引っ張られる「奄美」の存在にも注目していくべきだと思いました。

 会場からは今回このような講座が開かれたこと、奄美出身の文学を知れたことを喜ぶ声が聞かれました。また、奄美出身者の方も何人かいらしており、奄美での思い出やどのような生活をしていたか、どのように境界を感じていたかなど貴重なお話を伺うことができました。講座終了後、松下先生のもとに質問に来られる方が何人もおられ、大変活気溢れる講座となりました。

報告/文学部 日本語・日本文学科4年 山口光莉(公開講座サポーター)

*今後の予定は、以下のとおりです。
②10月21日(土)
~喜界島と安岡伸好・安達征一郎~
コーディネーター:
 松下博文(文学部教授)
ゲスト:
 石田里沙(安達征一郎氏ご遺族)
 北島公一(郷土史研究家)
 積山泰夫(喜界町教育長)

●公開講座の詳細・受講申込みはこちら↓↓↓↓

http://www.chikushi-u.ac.jp/campaign/lecture/