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公開講座「日本語ライティング講座―伝わる書き方―」④を開催しました【生涯学習センター】

 10月7日(土)、本学で「日本語ライティング講座―伝わる書き方―」第4回(最終)が開催されました。講師は先週に引き続き、元西日本新聞社特別論説委員・中川茂先生です。今回は「エッセイ」と「コラム」を中心に、書き方のポイントをご指導いただきました。

 中川先生は、まず、ご自身でお書きになったエッセイを例に、書き方の説明をされました。その中で印象に残ったことが三つあります。
 一つ目は、「起・承・転・結」の展開のしかたです。エッセイの場合、「起」と「承」は誰だって書けるような文章になるものだし、また、それでよい。しかし「転」は、自分自身の経験、つまり自分にしか書けないエピソードを書くことが肝要で、ポイントは「転」であるとのことでした。
二つ目は、文末表現に変化をつけることです。文の末尾を「~思った」、「~思った」などと同様の表現で連続させてしまいがちだが、それだと単調になる。エッセイは理屈よりも感情を大切に書くものなので、読み手を飽きさせない工夫が大事だとおっしゃっていました。
三つ目は、表記のうえでの配慮です。例えば、「時」と「~とき」。この二つの使い方は違います。「時」は名詞として、時間や時期そのものを指します。「~のとき」は、「~の場合」(困ったとき・するとき・集まったとき等)の意で使用する、という違いがあります。意味の違いを意識して、書き分ける必要があります

 続いてコラムが採り上げられました。新聞の投稿欄に掲載されたコラムが教材です。コラムについては何と言っても「H₂Oの法則」が印象的でした。文章の書き出しは「へぇ~」、中盤は「ほぉ~」、末尾は「おぉ、なるほど」と読者が反応するような文章を目指すようにという趣旨ですが、意表を突く表現で、インパクトがありました。
 西日本新聞「紅皿」掲載の諸作品―例えば「カノコユリ」は、60年以上前の母との夏休みの思い出が綴られています。その母がすでに亡いことは直接描写されないまま、読み終わって初めて亡くなっていることに気付かされる。そこが作品の魅力のひとつになっています。あれこれ思い出を列挙せず一つに絞っていることも、印象を鮮明にしているもうひとつの魅力です。

 全体的なまとめのなかで、書いた文章は翌日読み返してみるように、というアドバイスがありました。一度冷静になって、客観的な目で読むということです。私もレポートを書き終えた直後に読み直しても、漢字の間違いや読みにくい表現など、不十分なところに気付けていなかった経験があります。たしかに時間を置いて読み返すと、いろいろ反省点が見つかることがあります。先生のこのアドバイスにはとても共感を覚えました。

報告:人間科学部人間科学科発達臨床心理コース3年 磯部礼奈(公開講座サポーター)

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