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公開講座「文学と南(4)」②を開催しました。【生涯学習センター】

 6月10日(土)、福岡市赤煉瓦文化館(天神)において、公開講座「文学と南(4)日本文学と琉球文学-ニホンゴとは何か-」を開催しました。
 第2回目の今回は「「琉球語」の現在-多様性を巡って」というタイトルで、沖縄国際大学准教授・下地賀代子氏をお招きして、琉球語(琉球方言)についての概説と琉球語の現在のあり方、日本の方言についてお話し頂きました。

 「琉球語」と「琉球方言」の呼称の違いについては日本語との関わり方の違いがあるということや、琉球方言の内部差は北と南で青森方言と鹿児島方言ぐらいの大きな違いがあるといった基本的な部分から始まり、「ありがとう」などの身近な言葉を例として様々な琉球語のバリエーションについて取り上げた後、意識調査資料等を交えて琉球語についての現状を述べ、それを受けた沖縄の琉球語再活性化に関する様々な取り組みについて紹介がありました。

 また、下地氏は方言消滅の危機に関して、ユネスコの調査などをうけて琉球方言ばかりが注目されるが、日本の本土諸方言にも消滅の危機に瀕しているものがあるということや、その背景には「地域の有力な方言が周辺の方言を取り込んでいくことで多様性が失われていく“方言の均質化”がある」と述べ、「日本語各地方言も、琉球語と同じ問題が起こっている。インターネットやテレビなど、空間・時間を超えて繋がることが出来るようになっているということが日本語、特に方言に与える影響は大きい。そのことを人々に知って欲しい。」と講座を締めくくりました。

 会場からは、琉球方言に似ている方言はあるか、琉球語の男女での使用度や理解度の差があるが、何故そのような状況になっているのかといったことや、昔の方言の表記はカタカナに限られているのか、琉球方言を現地の人と同じようにきちんと音として読むことができるような活字化する際の積極的な試みはあるのか、といった表記に関することまで様々な質問が出されました。
 言語学的視点から沖縄のことば、広く日本の方言について改めて考える貴重な機会となったと思います。

報告/文学部 日本語・日本文学科2年 山下知夏(公開講座サポーター)

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