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公開講座「文学と南(4)」①を開催しました。【生涯学習センター】

 6月3日(土)、福岡市赤煉瓦文化館(天神)において、公開講座「文学と南(4)日本文学と琉球文学-ニホンゴとは何か-」を開催しました。

 この講座は文学部日本語・日本文学科の松下博文教授がコーディネーターとなり、沖縄の言語と文学に焦点を当てて、「ニホンゴとは何か」について考える3回の連続講座です。

 第1回目の今回は「記憶の言葉と「私」の文学」というタイトルで、沖縄出身の作家・崎山多美氏をお招きして、沖縄出身者として感じた日本語に対する違和感や、人々の沖縄への向き合い方に対する違和感とそうしたことについての葛藤を、自身の経験や作品中での表現、昨今の沖縄の政治的問題等を交えてお話し頂きました。
 講演中盤では、崎山氏自身が、最近刊行された『クジャ幻視行』のなかから島言葉を織り込んだ「孤島夢ドゥチュイムニ」の一部や宮沢賢治「雨ニモマケズ」の宮古島方言バージョンを朗読した後、会場に「音だけで聴いたときにどのくらいの違和感を感じるか?」と問いかけ、話の流れの中で感じた“もどかしさや違和感”について、「何故書き手はこの表現をしたのか?」といったような背景を考えて欲しい、そしてそれは日本語と沖縄方言のズレに対することだけではないと述べられました。
 また崎山氏は沖縄戦についても触れ、今でも沖縄の人々の潜在意識として影響を与えていること、沖縄で何かを考えるときに切っても切れない大きなものであること、その上で、このことや基地問題も含め、沖縄で文学や芸術をしようと思えば「沖縄そのものの持つ葛藤」を引き受けざるをえないと語りました。

 会場からは、琉球時代を含め歴史的な背景として沖縄が結んでいた中国との朝貢関係と文学や芸術への影響について、沖縄復帰前後時期の印象深い体験について、方言の作品への意識的挿入について等様々な質問が出されました。
 沖縄を題材とする文学のもつ背景についてより理解が深まった濃密な時間となったと思います。

報告/文学部 日本語・日本文学科2年 山下知夏(公開講座サポーター)

 

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