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公開講座「英語と英文学の世界」③を開催しました。【生涯学習センター】

 11月19日(土)、太宰府市いきいき情報センターにおいて、公開講座「英語と英文学の世界(3)」を開催しました。講師は、文学部英語学科の宮原牧子先生です。
 第三回目である今回は、The Nation's Favourite Poems(BBC Books, 1996)の資料を基に、「英国詩」の視点から英語を見ていきました。

 The Nation's Favourite Poemsとは、イギリスで行われた投票を元にした国民の好きな詩のベスト100作品です。このランキングの1位である“If”の作者Rudyard Kipling(1865-1936)は、ノーベル賞を受賞した詩人です。2位の“The Lady of Shalott”(Alfred,Lord Tennyson作)は、シャロット姫の悲恋の物語であり絵画やカナダの歌手がメロディをつけていることでも有名となっている作品です。5位の“The Daffodils”(William Wordsworth作)は、1980年代に詩のパロディがビールのCMに起用されたことでも有名です。
 宮原先生は、これらの詩の一連を英語で読まれ、その日本語訳をつけて丁寧に作品を紹介して下さいました。

 しかし、ランキングの発表当時は「何故こんな作品が?」といった疑問の声も挙がっていたようです。このランキングの投票の仕方は、留守番電話による投票であり、そのことから信憑性がないのでは?といった声もありました。けれども、先生はそんなことはないとおっしゃられました。
 その理由として、ランクインされた上位の本は、子どもの頃親や先生が読んでくれた思い出の本だったなどといった声も少なからずあり、様々な形でメディアに引用されている作品である。ということは、読書が人々の一番の娯楽でなくなった現代において、日常生活に浸透したものである、ともいいかえることができるからだと述べられました。

 先生の研究分野でもある「バラッド」というものがあります。「バラッド」とは、民衆の間に伝承されてきた物語や寓意のある歌や詩のことを指します。
 実は、このThe Nation's Favourite Poemsにランクインしている100作品中10作品がその「バラッド詩」なのです。

 このことにちなんで後半は、バラッド詩でもあり15位にランクインしている“The Highwayman” (Alfred Noyes作)についてお話されました。この詩は、序盤から暗い雰囲気が漂っている様子が伺えます。事実、この詩は不吉な物語なのです。
 この詩には、序盤に以下のような詩行があります。

The road was a ribbon of moonlight over the purple moor,
And the highwayman came riding-
  Riding-riding-
The highwayman came riding,up the old inn-door.

 そしてこの詩の最後の詩には、以下のような詩があります。

When the rod is a ribbon of moonlight over the purple moor,
A highwayman comes riding-
  Riding-riding-
A highwayman comes riding,up the old inn-door.

 比較してみると、実は最後辺りの詩は一連目の詩のアレンジになっているということが見て分かります。「come」が「comes」というように現在形のかたちへと変わっているのです。その理由としては、今も2人が会っているのだろうという思い、2人の恋を永遠の物にしたいという思いからだとおっしゃいました。

 講座の最後には、96位にランクインしていた “Chocolate Cake” (Michael Rosen作)を、著者本人が朗読して動画にしているものを見て終えました。この作品は、とてもユーモアな詩であり、見ていて楽しくなるような作品でした。
 イギリス詩に興味があった方も、なかった方も、新たな発見があった講座になったのではないでしょうか。この機会に是非、様々なイギリス詩をお楽しみ下さい。

 次回の公開講座「英語と英文学の世界(4)」は、11月26日(土)に「英単語と漢字の意外な共通点」のタイトルで「漢字」の視点から英語を見ていきます。

報告/人間科学部:人間科学科発達臨床心理コース2年 野田愛美(公開講座サポーター)

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