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公開講座「文学と南(3)」①を開催しました【生涯学習センター】

 10月1日(土)、福岡市赤煉瓦文化館(天神)において、公開講座「文学と南(3)―火野葦平・上野英信・佐木隆三・谷川雁」を開催しました。
 この講座は文学部日本語・日本文学科の松下博文教授がコーディネーターとなり、それぞれの作家にゆかりのある方々をお招きしてお話をうかがう、4回の連続講座です。

 第1回目の今回は「火野葦平と沖縄」というタイトルで、「糞尿譚」で第6回芥川賞を受賞した北九州若松出身の火野葦平が取り上げられ、現在、火野葦平資料館館長をしておられる坂口博氏をお招きして、特に1956年に書かれた「ちぎられた縄」を中心に、恒常的に問題となっている沖縄の米軍基地の問題を葦平が「文学」を通してどのように描こうとしていたか、あるいは、海上ヘリポートの移設問題でゆれている現実の辺野古の問題等と関連づけながら、リアルタイムでこの作品をどのように今に際立たせたらいいのか、という問題がクローズ・アップされました。

 葦平は1940年、44年、54年の三度にわたって沖縄を訪れていますが、特に沖縄に接近したのは葦平の弟千博が沖縄戦で戦死したことが大きかったようです。1945年以前の訪問では「島」「歌姫」というような琉球情緒たっぷりの沖縄を書き、戦後は、米軍占領下で強制的に土地を接収された沖縄の人々の現実を抉り出した「ちぎられた縄」を描くことになりました。
 「ちぎられた縄」は戯曲としても作り直され、発表当時、劇団文化座によって東京のみならず九州・山口の各地を公演して回ったようで、いま、演劇としてこの作品が再演されることを願う声が会場から多く上がりました。会場からは、日米安保条約にからむ沖縄駐留の米海兵隊の国外退去の問題や米軍基地の国内移設問題等の政治がらみの多くの質疑があり、沖縄をとりまくさまざまな状況を多方面から考えさせられる有意義な時間となりました。

 

報告/文学部日本語・日本文学科1年 桑野恵理子(公開講座サポーター)

 

*今後の予定は、以下のとおりです。
コーディネーター:松下博文(文学部教授)
②10月 8日(土)   上野英信と沖縄
講師:上野朱(古書店主)
③10月15日(土)  佐木隆三と沖縄
講師:松下博文(文学部教授)
④10月22日(土)  谷川雁と沖縄
講師:松本 輝夫(谷川雁研究会代表)

 

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