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公開講座「アジア塾」③及びドキュメンタリー映画「美しいひと」上映と監督トークを開催しました。【生涯学習センター】

 7月4日(土)筑紫女学園大学飛翔会館3階スクヮーヴァティーホールにて、午前中、公開講座「アジア塾」第3回「ドキュメンタリーの向こう側」、午後「ドキュメンタリー映画「美しいひと」上映と監督トーク」が開かれました。今回は、ドキュメンタリー映画監督東志津氏にわざわざお越しいただいてお話を伺いました。「アジア塾」では、東監督が取材してきた中から、主として韓国人の被爆者を取り上げていただきました。

 東監督は、ドキュメンタリー映画の監督として活動なさっています。ドキュメンタリーを撮るきっかけとなったのは、戦争当時、満州に残留孤児や残留婦人が大勢いたという事実を自分自身が知らずに生きてきたことに衝撃を受けたことがきっかけでした。実際に海外に行き、様々な外国の方と触れ合うことで、どれだけ多くの人々が戦争の被害にあったのかと思い始め、その後映画を制作するようになったそうです。

 「美しいひと」の制作を始めた当初は、アメリカに対して原爆で数えきれないほど多くの人命を奪ったことに怒り、日本人の被害を訴えるために作っていたそうです。しかし、次第に日本が戦争中に行なったことと双方で考えるようになり、そこから視点を変えて映画を作っていきました。戦争中、韓国のハプチョンという所からたくさんの韓国朝鮮人が生活のため、また労働力として軍需工場に強制的に連れていかれて広島に渡り、被爆した方が大勢いるという事がわかりました。そこで実際にハプチョンにある原爆被害者福祉会館に行ったそうです。被爆した人の中には、恋愛、結婚など、いろいろな人生のよろこびを諦めた人がたくさんいるということ、原爆投下直後だけでなく体・心の傷はその後もずっと続くということ、にもかかわらず、韓国では被爆者への配慮はあまりされていないことも知りました。被爆者の中には早く死にたいと願う人も少なくはなかったそうです。取材をした人の中には、子供のころから広島で過ごしていたために広島弁で話してくれる人や、当時は大変なことばかりだったけれども広島のことを第二の故郷として思ってくれている人もいたそうです。

 戦争といえば過去の出来事のような気がしますが、今でも私たちの知らないところで繰り返し戦争が起きています。韓国人の被爆者の方が、広島で被爆した韓国人が大勢いるという事実を、多くの日本人が知らないことこそが一番傷つくと仰ったそうです。じつは私も、今回の講演を聞くまでは、韓国人被爆者についてまったく知りませんでした。まずはそういう出来事があったという事実を知ることが、何より大切だと実感しました。

 報告/文学部アジア文化学科4年 白武明莉(公開講座サポーター)

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