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公開講座「第18回仏教文化講座」③を開催しました。【生涯学習センター】

 6月17日(水)太宰府市いきいき情報センターにおいて、第18回仏教文化講座「インドの宗教」を開催しました。講師は文学部英語学科准教授の小林久泰先生です。
 今回は「大乗仏教」をテーマに講義がひらかれました。まず大乗仏教の話にはいる前に釈迦入滅後の基本的な流れについて の振り返りをしました。第一結集では「如是我聞」という言葉から始まる経典の原型となるものが成立し、第二結集では金銭の所持などをめぐる弟子たちの間の対立から根本分裂が起き、教団は2つに分裂しました。その後、仏教教団はさらに細かく約20の部派に分かれていきます。これらの部派による仏教は部派仏教(小乗仏教)と呼ばれます。部派仏教は出家中心の仏教で、ブッダを超人視し、到達不可能な存在とみなしました。大乗仏教は1世紀頃に発生します。仏教の大衆化を図ることを目的とし、智慧や慈悲を身に付けることを理念とおいています。部派仏教とは異なり、こちらはブッダを目指す仏教でした。3∼4世紀頃には仏教内部で思想が多様化していくとともに、衰退していたバラモン教がヒンドゥー教として完全復活をしていきます。その影響もあり、7世紀には大乗仏教はヒンドゥー教の要素を大幅に取り入れ、密教へと展開していきます。13世紀にはインド仏教はヒンドゥー教に吸収されつつ、消滅していきました。

 大乗仏教発生に関する見解には、主に大衆部起源説と仏塔起源説があり、後者の方が長く支持されてきましたが、最近は経典起源説など新しい学説が唱えられるようになってきつつあるそうです。
 大乗仏教で理想像とされる「菩薩」には、もともとブッダ(さとりを開いた者)になる前の修行中の人というニュアンスがありましたが、それが「ジャータカ」にみられるような過去世で修行するブッダの姿に当てはめられ、次第に他人のために自己を顧みず、献身的につくす者へと意味が拡大していきました。
 また大乗仏教になると様々な仏が考えられるようになりますが、それは小乗仏教において過去仏、未来仏というものが考えられた後、なお無仏の世を嘆く大乗仏教徒たちの仏陀を求める思いによるものであることを学びました。最終的に、仏陀が法(教え)を説くという仏陀観は、大乗仏教になると、法がまずあって、それが様々な仏陀をこの世界に派遣するという仏陀観へと変化していったということも学びました。
 講座を通して受講者の皆さんにも大乗仏教について詳しく知っていただけたのではないでしょうか。

 

報告/人間科学部人間科学科幼児保育コース2年 角 恵里奈(公開講座サポーター)

 

*今後の予定は、以下のとおりです。
④ 7月 1日(水) ジャイナ教
講師:宇野智行(文学部准教授)
⑤ 7月 8日(水) ヒンドゥー教
講師:川尻洋平(人間文化研究所)

 

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