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公開講座「第21回仏教学研究室公開講義」④を開催しました。【生涯学習センター】

10月18日(土)15:00から、柳川市の柳川総合保健福祉センター「水の郷」において、第21回仏教学研究室公開講義「ビジュアル~ブッダの歩んだ道~ ④王舎城の悲劇:ラージギル」を開催しました。
講師は人間科学部講師の宇治 和貴先生です。

第4回目である今回のテーマは王舎城の悲劇です。お釈迦様が説法された場所の中に王舎城が含まれています。この城の場所は現在のラージギルにあたります。
王舎城に、アジャセという王子がいて調達(デーヴァダッタ)という悪友にそそのかされて、父のビンバシャラ王を捕らえ、七重に囲まれた牢獄に閉じ込めます。アジャセは父を幽閉することで、クーデターを起こしました。

母のイダイケは身体に蜜を塗り胸飾りにぶどう酒をつめて、父ビンバシャラ王に会いに行きます。アジャセはなかなか父が死んだという連絡を聞かないため、家来に問い詰めると「母君が食べ物を差し上げており、また仏弟子の目連尊者と富楼那尊者が空から飛んで来て父君に説法されております。」と答えます。アジャセは母を殺そうとしますが、家臣のギバに「今まで父を殺した王子はいるが、母を殺した王子はいません。」と言われ、母の殺害を思いとどまった王子は母を幽閉します。
憔悴した母イダイケは、お釈迦様のいる耆闍崛山の方に向かって「お救い下さい。」と頼みます。お釈迦様は母イダイケの所へ訪れ、イダイケは「世尊、どのような罪があってこのような子を産んだのでしょうか。世尊もどのような因縁があって調達と親族でいらっしゃるのでしょうか。私はこのような悪に満ちた世界から抜け出したい。」と尋ねます。
実は、アジャセの出生には秘密がありました。父ビンバシャラ王と母イダイケはなかなか子宝に恵まれませんでした。そこで、占い師に相談したところ、「山に住む仙人が亡くなれば、子どもが産まれる」というお告げをうけます。ところが、子どもが早く欲しい二人は家来に命じて仙人を殺してしまいます。仙人は死ぬ前に「この恨みをお前の子どもが仇を討つ」と予言します。そして、占い師のお告げ通り、子どもが産まれます。しかし、仙人の予言を恐れた、王様夫婦は子どもを城壁から落として殺そうとしましたが、子どもは指を骨折するけがだけで、助かります。この子どもがアジャセです。そして、この秘密を教えたのが調達で、怒りに満ちたアジャセは父と母を幽閉してしまうのです。これが、王舎城の悲劇です。

宇治先生は、この王舎城の悲劇は史実なのか、王舎城の悲劇に関するジャイナ教資料と比較をし、また、親鸞聖人がこの悲劇を重要視されており、人間の惨犠と救いの構造を読み取られたことをお話してくださいました。今回の講座は、私にとって少し難しい内容でしたが、とても勉強になりました。有意義な時間を過ごさせていただきました。

報告/文学部英語学科 4年 角熊理歩 (公開講座サポーター )

 

*今後の予定は、以下のとおりです。
⑤11月 1日(土) 涅槃の地:クシナガル
講師:中川正法(人間科学部教授)

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