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公開講座「近代の詩歌」③を開催しました。【生涯学習センター】

10月20日(土)太宰府いきいき情報センターにおいて、公開講座「近代の詩歌第3回『島木赤彦の世界―「写生」短歌を読む』」が行われました。
講師は文学部日本語・日本文学科准教授の出雲俊江先生です。

今回の講座では、島木赤彦の写生のあり方と歌の移り変わりについて解説されました。
まず解説されたのは、「写生」とはどのようなものであるか、ということです。写生とは、従来の主観を題材にするのとは違う詠み方で、見たものの本質をとらえ、そのまま描くということです。これは、「梅にはうぐいす」のような固定観念の外側に脱出するための方法として有効的でした。島木赤彦らは、この「写生」を旗じるしにして短歌をつくり始めたそうです。ただ、本当に見たままを描くというのは思いのほか難しく、彼らはたびたび「見ることの困難」にぶち当たったそうです。

それから近代短歌と現代短歌を比較し、その違いについて説明されました。近代短歌は、命の一回性を詠むことが共通の基盤にあり、自分が読んだことを強く主張する傾向があるといわれているのに対して、現代短歌は、今や交換可能なものとなってしまった現代人の生の疎外感や息苦しさが詠まれているというのが特徴だそうです。

島木赤彦の歌集は、『馬鈴薯の花』『切火』『氷魚』『太虚集』と『柿蔭集』5つの歌集です。島木赤彦の歌は、主観描くものから客観描写なもの、色彩的でとても鮮やかなものなど、歌集によってそれぞれ違う特徴がありました。また、今回は実際にその中のいくつかの歌集を回覧して見せて下さることで、資料には載せられなかった、よりたくさんの歌を紹介していました。

私は、短歌には日ごろなじみがないと感じていたのですが、実際に今回現代短歌を読んでみると、とても共感できて、短歌の裾野はとても広く、意外と身近なところにも短歌が存在してあるのだなと感じました。

講師と参加者のみなさんが一体となっているような感じで、とてもいい雰囲気の講義でした。

報告/文学部アジア文化学科3年 中壽賀 郁名(公開講座サポーター)

 

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