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公開講座「アジア塾」③を開催しました。【生涯学習センター】

10月18日(木)アクロス福岡において、「アジア塾:アジアの中のジェンダー(性差)」(第3回)を開催しました。
講師は文学部アジア文化学科の喜多村百合准教授です。

3回の講座を通して、アジアの国である韓国、中国、インドをジェンダーの視点からより深く学ぶという目的で開催されました。

最終回の今回は、「インドの地域ガバナンスを変える女性議員」についてでした。日本人からすると少し遠く感じるインド。インドの社会がどのように構成されているのかを、ジェンダーの視点も加えながら学び、理解を掘り下げるというものでした。
現在、新興国としてIT産業を中心にすさまじい勢いで経済成長しているインドは、時間軸(歴史)でも、平面軸(自然・文化・民族)でも極めて多様なありかたをします。

ジェンダーで見る インドは、たとえば人口性比では1000対940で、0から6歳においては1000対904と、女性が著しく少ないのです。インドの古い習慣であるダウリー(持参金)やパルダという女性隔離もあり、インドの女性の地位は相対的に低いです。1975年の「国際婦人年」に女性の地位低下が指摘され、1992年に憲法改正を行い地方分権化とともに、議席の3分の1に女性枠を設けました。予算の一部がジェンダー予算とされ、女性の地位がどれだけ向上するかが期待されます。第11次5カ年計画(2007-12)では、ついに初めて女性が経済・社会開発の担い手と認識されました。

インドで、唯一男児よりも女児の出生率が高い州、それがケーララ州です。ケーララ州は、母系制社会を過去に持ち、家系が女性中心に紡がれ、相対的に女性に行動の自由があり教育も早くから受けることができました。しかし先進国並みの高い社会指標を達成しながら、女性たちは主婦が多くほとんど働いていないのが現状です。今ケーララ州の地方議会は、女性枠が50%に拡大され、女性議員たちは、地域女性の社会参加などのために活躍しています。たとえば、クトゥンバシュリという近隣女性住民たちによる小規模貯蓄・起業活動が広がっていて、女性のネットワークが形成されています。また、簡易調停機関も普及し始めており、少しずつジェンダー問題が是正されてきているようです。

参加者の方々は、熱心にメモを取り、終了後の質疑応答では、鋭い視点での質問をされて関心の高さを感じました。時間が足りず、終了後に講師の元に行って質問している方もいるくらいでした。
急速に経済成長しているインドについて、もっと知らなければならないということが今回の講座で分かりました。

報告/文学部アジア文化学科2年 副島 彩花(公開講座サポーター)

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