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公開講座「近代の詩歌」①を開催しました。【生涯学習センター】

10月6日(土)太宰府市いきいき情報センターにおいて、公開講座「近代の詩歌」第1回「戦後詩の世界」を開催しました。
講師は文学部日本語・日本文学科教授の松下博文先生です。

この講座は、明治・大正・昭和に活躍した代表的な詩人や歌人の作品を丁寧に読み解き、短詩形ならではの世界に触れてみようという全3回の連続講座です。第1回目の講座は、吉野弘さん、石垣りんさん、谷川俊太郎さんの代表作が取り上げられました。

まず、吉野弘さんの「夕焼け」と「I was born」の詩について、学びました。
「夕焼け」は、松下先生が1行ずつ読んで行き、その言葉を受講者が一字一句書き写したあと、先生が受講者に質問するという形で進められました。
「夕焼け」「I was born」は、私たちの周囲にさりげなく転がっている風景(たとえば、満員電車で年寄りが立って若者が坐っている風景)など、現代社会のヒズミそのものを、詩人としての吉野さんの確かな目が掬い取り、それを詩として表した詩です。

次に、石垣りんさんの「鬼の食事」の詩について読み解きました。
この詩では葬式に参列する会葬者へのシニカルな視線が強く印象に残りました。会葬者が箸で死者の骨を拾う手つきがあたかも骨を食うと手つきと重なって見え、ぞっとしました。

最後に、谷川俊太郎さんの「かなしみ」を読みました。
この詩には「あの」や「その」といった対象を限定できない言葉が使われていたのですが、これらの限定できない言葉こそが読む人の想像を膨らませ、また、それこそが谷川さんの意図するところだということが理解でき、詩は読む人によって受け取り方が異なり、解釈の仕方も何通りもあることもわかりました。

松下先生は講義中、例え話をして受講者の笑いを誘ったり、公開講座サポーターと一緒になって詩の中の一部を再現したり、受講者に終始質問され、受講者もその質問に積極的に応えていて、とても活気あふれる講義だったと思います。

多くの受講者の方がメモを取ったり先生の言葉に頷くなど、熱心に聞かれていました。


報告/人間科学部人間科学科社会福祉コース2年 右田結子 (公開講座サポーター)

*今後の予定は、以下のとおりです。
② 10月13日(土) 北原白秋の世界~「思ひ出」と柳川方言~
講師:中村萬里(日本語・日本文学科教授)
③ 10月20日(土) 島木赤彦の世界~「写生」短歌を読む~
講師:出雲俊江(日本語・日本文学科准教授)


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