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【日文の学び】2020年度1年生の想い ✿No.1

2020年度を振り返る 1年生の想い ✿ No.1

     4年生に続き、1年生にこの一年間を振り返ってもらいました。

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自分を大切にする

宮崎第一高等学校出身
島高 和鈴

  コロナ禍のせいか、この一年は私の不安も増す一方だった気がしている。世界中の人々が未曾有の病魔と対峙し、日常に当たり前がなくなり、一人で苦しんだ一年だ。昨年までは私も受験生だったこともあり、これから大学生活を送ろうとする人は受験期間を含めどのような気持ちでいるのだろうとよく考えたものだ。そんな私がこの一年を振り返って思い浮かべるキーワードは「苦」と「自愛」である。

 この二つのことばにはそれぞれ理由がある。先ほども書いた通り受験生として過ごしていた昨年は、入試が終わり息つく間もなく大学に入学し、気持ちの切り替えがとても追いつかないままであった。授業は遠隔となり、振り返ると一年時が止まっていたように感じる。私は当初、大学に入学してから進路を見極めていこうと考えていた。そのため一人でパソコンに向かい、将来への見通しが不透明だという事実に大いに苦しんだ。

 しかし、どのような状況であろうと時間は過ぎていくばかりだった。遠隔で始まった大学生活では突如大量に入ってくる情報をひとつずつかみ砕いていくのに苦労した。アルバイトもしてはいたが、上手くいかない日がもちろんあり、いつも一人暮らしの部屋に帰っては一人で落ち込んだものだ。夕方、帰りの電車を待ちながら自分の置かれている状況に限界を感じ、辛さから自分を見失いかけたことも一度や二度ではなかった。その時にいつも自分の心から「頑張れ。私なら出来る。自分を大切にしてほしい」―そんな声が幾度となく聞こえてきた。

 今年一年の何よりの学びは「自愛」だ。これは「頑張って、行き詰ったら休憩する」という意味ではない。私がこの一年で考えた「自愛」とは、自分がたった一人のかけがえのない存在だという誇りを持ち、未来の自分をも大切にするということである。誇りは人を動かす原動力であると私は考える。誇りを失わず、自分を大切にできれば可能性はいくらでも広がり、そのための努力を続けることができるのだ。

 大学は中学や、高校とは違う。自分で学ぶことや学び方を選び、自分を高め、未来をつかみ取る必要がある。そのために努力することもまた自分を大切にするということだ。大学生活は自由で、輝かしいものだと入学する前は誰しもが思っている。だからこそ大学生活でも日常生活でも、その「輝かしいもの」の中に必ず何かしらの学びを得る必要があると私は考える。

 大学に入った時私が安心したことは、周りに知り合いが一人もいなかったことだ。知り合いがいないということは、自分が本当はどのような人間でありたいのかを自分で決めることができるということだ。小さなことでも一歩踏み出してみると目に見える世界は変わっていくのだということを、私はこの一年で学んだ。それは今の自分も未来の自分も大切にしていこうと思えたからである。自分の個性を愛し、愛せるように努力し、誇り高く、自分のペースで着実に歩みを進めて行くこと、それが一年間で出した私の答えだ。

 

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No.113 **********