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【日文の学び】大学生活を振り返って ✿No.3

大学生活を振り返って ✿ No.3

来月卒業式を控える4年生は、卒業論文を含めすべての授業を終えました。
4年生に「筑女での大学生活をふりかえって」というテーマでエッセイを書いてもらいました。

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末永朱里

 一年生の頃に「大学で学びたいこと」というテーマのエッセイを書いた。おそらく大学に入学して一番はじめに提出した課題だ。それを読み返してみると、「国語の授業が好きだったから大学でも私は日本語を学びたい」と書いてある。さらになぜ国語が好きなのかというと、「言葉は頭の中で考えていることを出力するのに最も多く使われる手段だからおもしろい」と過去の私は言っている。しかし文末には「こんなことを学んでも将来自分の役に立つとは思えないし、人の役に立つとも思えないから不安だ」とあった。 

 今になってそれを読み返してみると、「絶対にそんなことはない!」と言い切れる。言葉や人とのコミュニケーションの仕方を学ぶことは、自分の役にも立つし、人の役にも立つと思っている。 

 私が大学生活で特に力を入れて学んだのは日本語教育に関することだ。その中でいろいろな国の人と接する機会を持つことができた。その中で感じたのは、異文化の人と接するには共通の言語さえ話せればうまくいくというわけでもないことだった。根幹から違うものの考え方に驚いたり、伝えたいことをより正確に伝える方法はないか模索したりしたことは、とてもいい経験になった。 

 人と人がものを伝え合う方法は話す、聞く、書く、読むを基本に、もっとたくさんの方法がある。日本語教育の授業では身振り手振りは大事だし、視覚的に受け入れやすいように絵カードや写真、スライドにも工夫がある。表情や声のトーンだって重要な要素だ。そして何よりも「伝えること」の難しさを知っていることが大事だと思う。そういった経験を経てコミュニケーションの幅の広さを昔より少しばかり深く知ったことは絶対に将来に役立つはずだと思う。 

 新型コロナウィルスが流行して、私たちは以前よりも直接顔を合わすことが難しくなった。その中でもやっぱり、今できることを最大限に活かして繋がりを持ち続け、伝えたいことを伝え合おうとする意識は活かされてくるのではないか、と思った。

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No.108 **********