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日文 ✿令和✿万葉✿大宰府特集 ❀『万葉集』を学び、世界を学ぶ ❀

いよいよ「令和」の時代がやって来ました!

「令和」は、『万葉集』(巻五)に収められた梅の歌三十二首に付けられた漢文の序を典拠にもつ元号です。天平二年(730)のこと、筑紫女学園大学が位置する大宰府に、大伴旅人(おおとものたびと)や山上憶良(やまのうえのおくら)たちが集まり、梅見の宴会を開いて三十二首のうたを詠み、そして、「令」「和」を含む序が付けられました。

「令」は、良いこと、美しいことを指し、「和」は、穏やかなさま、柔らかなさまを意味します。また、安倍晋三首相が「厳しい寒さの後に見事に咲き誇る梅の花のように……それぞれの花を大きく咲かせることができる。そうした日本でありたい」と述べたように、「令和」には、梅の花への想いも透かし見ることができます。

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ところで、大伴旅人たちは、なぜ、梅の花のうたを詠もうと思ったのでしょうか?

『万葉集』に見られる草花を数え上げてみると、おおよそ、次のようになります。

 萩   141首
 梅   118首
 ぬばたま 80首
 紅葉   78首
 松    77首

第1位の「萩」は、古くから日本に自生し、非常に親しまれた花です。一方、第2位の「梅」は、日本に自生していたものではありません。

梅は、外来の植物であり、当時、大変珍しいものでした。だからこそ、大伴旅人たちは、海を隔てた異国からもたらされた梅の花を眺め、多くのうたを詠んだと考えることができます。梅は、インターナショナルな植物だったということができるのです。

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日本文学を学ぶことは、決して、日本のことを知るだけではありません。日本文学を学ぶことは、日本を知ると同時に、海外を知ることでもあるということができます。

筑紫女学園大学では、こうした視点から、ただ日本語だけを眺めるのではなく、英訳や中国語訳、韓国語訳も参照しながら日本文学を学ぶことができます。

「令和」の時代、国際社会で生きようとする皆さん一人ひとりと一緒に、世界の中の日本文学を学んでいきたいと思っています。

須藤 圭(日本語・日本文学科准教授)

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