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宝満山での近世の暮らしの痕跡をたどる授業を実施しました

エコツーリズム論のフィールドワークとして、宝満山での近世の暮らしの痕跡をたどる授業を実施しました。

御笠まちづくり振興会の小西信二先生にご案内いただき、筑紫野市側から宝満山の中腹にかけてゆっくり時間をかけて散策しました。近世だけでなく、古代や中世の祭祀の跡や炭焼き窯の跡を辿りながら、小西先生の子どもの頃に食べた木の実の話なども伺いました。

非常に多くの登山客が訪れる宝満山ですが、年々、マナーが低下しており、貴重な植物の盗掘や山が荒れる原因となっているそうです。観光利用と史跡や自然の保全、霊山とされる山の聖地の保護の両立の難しさと、地元住民として実施されている取り組みについても教えていただきました。

若い頃にK2に登頂されたこともある登山家で、遭難者が出ると救助に向かう小西先生。遭難者にはだいたい共通点があるそうです。地図も持たず、いざという時の備えもしていない、気軽に山に入る今回の学生の様な格好の人ですと優しく山に入る心構えを教えて下さいました。お昼過ぎから山に入る人も遭難するそうです。

歴史や聖所の宝庫とも言える宝満山は、2013年に国の史跡に指定されましたが、長年調査のために山に入っている小西先生にしかわからない言われや場所がたくさんあるそうです。保全・保護のための財政的、人的支援を早急に確保し、貴重な歴史・文化・自然資源を継承していく仕組みが必要だと言えます。

今後の授業では、フィールドワークを通して学んだ宝満山が直面する課題を整理し、資源の保護と持続可能な利用のために必要な取り組みを議論していきます。